#Drama
たった30分しか会ったことのない男との結婚を17歳で強制され、毎日のように義母から妊娠へのプレッシャーをかけられる主人公。613もの厳しい戒律を遵守して禁欲的に生きる「超正統派」と呼ばれるユダヤ教徒のコミュニティで生まれた女性の物語だ。ホロコーストを生き延びた人々がニューヨーク・ブルックリンに再建した実在の地区で育った作者による小説をNetflixがドラマ化。彼女は単身ベルリンに飛ぶという壮大な家出をするが…。「ホロコーストで失われた600万人の命を取り返す」という大義の下に抑圧されてきた人権を、少しずつ自力で取り戻す彼女の選択が、選択肢として当然になる世界を祈らずにはいられない。
2020年製作/アメリカ・ドイツ/PG12
監督:マリア・シュラーダー
配給:Netflix
#Drama
自他共に認める「恋愛下手」キャラの女性・咲子(岸井ゆきの)は、自分が他人に恋愛感情も性的欲求も抱かない「アロマンティック・アセクシュアル」であることに気づく。そのきっかけは、似たセクシュアリティを持つ羽(高橋一生)のブログだった。彼らの共同生活を通して、恋愛至上主義・異性愛偏重の社会の息苦しさが容赦なく浮き彫りになっていく。無性愛の当事者による数多くの実体験がベースになっているなどリアリティに徹する一方、軽妙なキャラクターやセリフが巧みで、決して説教や悲劇にならない。咲子と羽を抑圧していた側の人物たちの視野が開かれていく描写にも説得力がある。
NHK VIDEO 恋せぬふたり
2022年製作/日本/G
発行・販売元:NHKエンタープライズ
#Drama
ハラスメントの蔓延する職場に怒り退職した女性(真木よう子)が、元勤務先の向かいにビストロレストランを手作りし、無職の女性やゲイ男性を雇って奮闘する群像劇。『Mother』『Woman』と、社会が女性に強いる「役割」への疑念を描いてきた脚本家・坂元裕二が、ただ「女性である」というだけで人権侵害に耐えなければならない日本社会の日常風景を切り取った、#MeToo運動が始まる2年前のドラマ。男性中心社会に適応するため恋愛依存症の「量産型キラキラ女子」を演じて生きる女性(高畑充希)を筆頭に、それぞれの人物の抱える苦悩が真に迫る。男性キャラの悪行が手ぬかりなく「悪」と描き切られているのも正しい。
2015年製作/日本/G
脚本:坂元裕二
制作:フジテレビ ドラマ制作センター