東京都人権プラザ企画展 人権カルチャーステーション

須川亜紀子さん推薦①

HUGっと!プリキュア

HUGっと!プリキュア

なりたい自分になる心を
子どもたちに身近な話題の中で伝える。

おなじみ『プリキュア』シリーズの15作目。子どもの身近な話題の中で人権問題も取り上げた作品。エレキギターが好きな女の子えみるは、兄から「女らしくない」ギターを批判されるが、好きなものをあきらめない。敵のスパイであったアンドロイド・ルールーや、フィギュアスケーターで可愛いものが好きな男の子アンリまでもがプリキュアになったことで話題となった作品。ジェンダー規範に束縛されず、「なりたい自分になる心」がプリキュア(勇者)になれるというメッセージが読み取れる。

  • 放送期間:2018年―2019年

  • 制作:朝日放送テレビ、ABCアニメーション、ADK、東映アニメーション

須川亜紀子さん推薦②

王様ランキング

王様ランキング

“障がい”とは誰もが持つ
負の感情であると気づく。

耳が聞こえず、話すことができない非力なボッジ王子。その障がいゆえに、第一王子にもかかわらず、策略の末、亡き父王の後継者にはボッジではなく弟のダイダが指名される。しかし、ボッジは心の優しさから、蛇や絶滅させられた暗殺集団「影の一族」の唯一の生き残りカゲに慕われ、冒険へと旅立ち、やがて立派な剣士となって帰還し危機に瀕する母国を救う・・・。この作品には裏切りや差別から憎悪の化身となったミランジョという悲しい過去をもつ魔女が登場する。身体的なものではなく、誰の心にもある負の感情こそが、「障がい」なのだと気づかせてくれる作品である。原作は十日草輔のマンガ『王様ランキング』(ビームコミックス/KADOKAWA刊)。

  • 放送期間:2021年―2022年

  • 製作:アニメ「王様ランキング」製作委員会

須川亜紀子さん推薦③

夏目友人帳

夏目友人帳

未知なる「他者」と出会ったとき
排除ではなく共存を選ぶ行動。

早くに両親を亡くし、親戚の家を転々とする主人公・夏目貴志。見えない不思議なもの(妖)が視えてしまうことで、周囲からいじめられた彼は、自分の殻に閉じこもってしまう。しかし、優しい藤原夫妻に引き取られ、亡き祖母レイコの故郷にやってきたことで、夏目の運命が変わっていく。レイコに名を取られた妖たちや猫として夏目に寄り添う大妖怪斑(ニャンコ先生)妖祓い(祓い屋)、そして高校の同級生たちとの交流が夏目の心を解きほぐす。この作品には、妖怪を忌み嫌い、排除する祓い屋が登場する。自分とは異なる他者を排除するのではなく、共存しようとする夏目の行動を通じて、知らず知らずのうちに私たちも未知なる「他者」を排除しているのではないかと考えさせられる。原作は緑川ゆきのマンガ『夏目友人帳』(白泉社)。

  • 放送期間:2008年―2017年(第1期〜第6期)

  • アニメーション制作:東映アニメーション

  • 製作:「夏目友人帳」製作委員会

PROFILE
須川亜紀子
横浜国立大学大学院
都市イノベーション研究院教授
須川亜紀子
ウォーリック大学大学院映画・テレビ学科博士課程修了。日本アニメーション学会会長。専門は、アニメ・漫画・2.5次元舞台などのオーディエンス/ファン研究。女性の描かれ方やオーディエンスについてジェンダーの観点から研究。近著に『2.5次元文化論:舞台、キャラクター、ファンダム』(青弓社、2021年)など。
ウォーリック大学大学院映画・テレビ学科博士課程修了。日本アニメーション学会会長。専門は、アニメ・漫画・2.5次元舞台などのオーディエンス/ファン研究。女性の描かれ方やオーディエンスについてジェンダーの観点から研究。近著に『2.5次元文化論:舞台、キャラクター、ファンダム』(青弓社、2021年)など。