#Music
マドンナ
マドンナは1992年に「Erotica」というアルバムと、「SEX」という写真集を発表。いずれも大胆な性表現に踏み込む作品だったが、この際、激しいバッシングを受ける。女性が性について自己表現することへの逆風を感じたという。こうした女性蔑視へのアンサーとして出したのが、1994年の楽曲「Human Nature」である。“性について語っちゃいけないなんて知らなかった 自分の想いを語っちゃいけないなんて知らなかった 私は謝らない これは人間の性だから”。この曲は、2017年にトランプ前大統領の女性蔑視な言動に対して行われたウィメンズ・マーチでも歌われており、今も強いメッセージを放っている。
Album「Bedtime・Stories」(1995年)収録
#Music
マライア・キャリー
黒人の父と白人の母との間に生まれたマライア・キャリーは、幼少期からひどい人種差別を受けた。また黒人と白人のバイレイシャルであるがゆえ、ブラックコミュニティにも居場所がなかったという。そんな孤独を1997年の「Outside」にて、“自分と同じような人間なんていないと感じる”と歌っている。そして、どこにも属せず常にOutside(蚊帳の外)にいるようだと吐露した歌詞にシンパシーを感じたのは、彼女と同じ境遇の人だけではない。北京オリンピックのメダリストであり、2019年にはゲイだとカミングアウトしたカーロン・クレメント選手も自分自身と重ね合わせたと語っており、様々な人々の孤独に寄り添い続けている。
Album「Butterfly」(1987年)収録
#Music
ジャネット・ジャクソン
メインストリームのフェミニズムが白人女性を基盤とする社会で、黒人女性という二重のマイノリティであるジャネット・ジャクソンは、それゆえ直面する壁も多々あったようだ。人種差別と性差別がメンタルヘルスに影響を与えたことも告白している。そんな彼女が1993年に自身の名を冠して出したアルバム「janet.」。その中の収録曲「New Agenda」で、こう宣言している。“自分の性別のせいで 私は何度もNOと言われてきた 自分の人種のせいで 私は何度もNOと言われてきた でもNOと言われる度に私は強くなった それがアフリカ系アメリカ人の女たる所以 誇り高く毅然と振る舞う”。ブラックフェミニズム史に名を刻む、魂の歌だ。
Album「Janet」(1993年)収録
#Music
レディー・ガガ
LGBTコミュニティから支持を集めるアンセムは昔からたくさんあるが、歌詞内で明確にLGBTに関するワードを出し、なおかつ大ヒットさせたという意味で、レディー・ガガが2011年に出した「Born This Way」は特筆すべき楽曲である。自分らしくいることを美しいと称え、どんなマイノリティであろうと“こうやって生まれたんだ”と全肯定する歌詞は多くの人を勇気づけた。なお、2017年のスーパーボウルにライブ出演した際も彼女はこの曲を歌っている。そのときに出した、“求められていないと感じる子供と、受け入れられることの難しさを知る大人のためにやる”というコメントが全てを象徴しているのではないだろうか。
Album「Born This Way」(2011年)収録
#Music
浜崎あゆみ
浜崎あゆみは長いキャリアを通し、フェミニズムにまつわる歌をいくつも出している。その中のひとつが2004年発表の「my name’s WOMEN」だ。自身が体験してきた女性蔑視的な扱いや風潮に、“都合よく存在してる訳じゃない”とNOを突きつけた曲で、タイトル通り女性としての意思表明となっている。2017年にはSNSで“日本はどうしてこんなにもマイノリティへの理解がなかなか進まないのだろう(中略)、女性が男性社会で権力を持ち発言しようものならマイノリティーオピニオンだ、と。だったら私はマイノリティーの一部として発信し続けようじゃないの”とも発言しており、彼女の闘志の源流をこの曲に見ることができる。
Album「MY STORY」(2004年)収録