#Game
1980年代、架空の共産主義国であるアルストツカの入国審査官として、日々長蛇の列を成す入国者と対峙し、書類確認や審問を通して相手の入国可否を決める“業務”をこなしていく作品。入国者の処遇は完全にプレイヤーの手に委ねられており、仕事を求める移民や、一筋の希望にすがる亡命者を見逃すのも自由だ。だが、それは同時に犯罪者や、あるいはテロリストの脅威とも紙一重であることを意味しており、入国者に対する国の態度も政治情勢によって目まぐるしく変わっていく。そして何より、主人公はその仕事で得たお金で家族を養わなければならない。仕事で得られる給料は薄給かつ歩合制であり、職場への忠誠心、あるいは正義を貫いて生きていけるほど状況は甘くない。業務を繰り返していく中で、やがて本作は外国人の入国を巡る現実世界の問題に対するプレイヤーの感情を残酷なほどリアルに引き出していく。
ジャンル:アドベンチャー
開発元:Lucas Pope
発売元:Lucas Pope
発売年:2013年8月
#Game
人間を凶暴化させる寄生菌の感染爆発によって荒廃した米国を舞台に、その中で何とか生き延びようと必死にもがく人々の姿を、人間の持つ残酷さを含めて徹底的かつ容赦なく描く『The Last of Us』シリーズの2作目。“復讐の連鎖”を描いた本作では、ある人物に対する復讐に取り憑かれた女性・アビーの物語が描かれる。かつて所属していたカルト教団から「(生まれ持った性である)女性として生きることを拒んだ」ことによって追放されてしまった少年・レブとの出会いがアビーの運命を大きく変える。信仰と社会と性自認の狭間で過酷な運命に翻弄されながらも懸命に生きる彼の存在は、かつて復讐のためだけに生きていたアビー(とプレイヤー)に対して、「自分らしく生きるとはどういうことなのか?」という問いを、綺麗ごとを排除した上で強く突きつける。
ジャンル:アクションアドベンチャー
開発元:Naughty Dog, LLC.
発売元:株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
発売年:2020年6月
#Game
全盲の女性剣士となって、とある王国の危機へと対峙するアクションRPG作品。作品の舞台設定などは王道の中世ファンタジーに則した内容となっているが、その最大の特徴は主人公の障碍を踏まえ「実際に画面が真っ暗である」という点にある。プレイヤーは視覚的な情報を一切遮断して聞こえてくる音のみを頼りに、目的の場所へと歩みを進め、装備を整え、立ちはだかる敵に対して武器を向けなければならない。本作は視覚障碍者への支援団体と当事者からのフィードバックを踏まえながら制作されており、優れたサウンドデザインも相まって、圧倒的な没入感を与えると共に、視覚障碍がある当事者の疑似体験、そして実際に視覚障碍がある人々へのアクセシビリティ・サポートを見事に両立させているという稀有な作品となっている。
ジャンル:アクションアドベンチャー
開発元:Falling Squirrel Games, Creative Bytes Studios
発売元:Falling Squirrel Games Inc.
発売年:2021年8月