警備の仕事は、
接客業でもある


福岡県福岡市にある警備会社、ATUホールディングスに勤務する三苫さん。警備員としてさまざまな現場で活躍しています。主に担当している現場は、銀行の駐車場警備。立体駐車場の操作をしたり、銀行を訪れる車を振り分けたりして、お客様がスムーズに駐車できるようにします。「接客業のように、お客様の満足につながる、緊張感のある仕事です」と話します。事務所に戻れば、パソコンに向かいデスクワークもします。警察に提出する「道路使用許可申請書」の作成も担当しているからです。
警備員の仕事を続ける中で、教育や指導もしたいと考えるようになった三苫さん。「入社当時、教育や指導ができるのが、社長ひとりだったんですよ。社長の負担を減らしたいと思ったんです」。そこで警備員の教育に必要な国家資格である警備員指導教育責任者の資格を取得しました。今後は後進の指導にもあたります。
大学入学後にうつ病と診断された三苫さん、退学して治療したのちに障害者手帳を取得しました。就労支援事業所に通う中で自信もつき、一般の仕事に就きたいと思うようになりました。スーパーで2年ほどアルバイトを経験し、正社員としてATUホールディングスに転職しました。
「今後は、とにかく会社に必要とされる、会社に貢献できる仕事がしたいです」と話す三苫さん。そのためにいつも「なにが必要なのか」、「こんな役割の人がいたら便利だろうな」と考えるようにしている、と話してくれました。

お互いに支え合う「ピアサポート」
三苫さんが勤務するATUホールディングス株式会社では、障害のある社員同士がお互いのケアをすることが、当たり前のように行われているという。「『ピアサポート』という意識もなく、当たり前に障害者が障害者を支えています。同じ障害を持っていると悩みや思いを共有できたり、伝え方を知っていることが多いですから」と話すのは、ATUホールディングス代表取締役の岩崎龍太郎さん。困ったことがあれば、お互いに手を伸ばす。困っていること、トラブルの情報はみんなで共有する。「誰が、誰から、どんな支援を受けたのか、すべて社内システムで共有しています。この情報は、全員が閲覧可能です。隠すことはありません」と岩崎さん。スゴい情報共有で、お互いに支え合っています。

※本記事の内容は2019年11月時点のものです。