副業もしながら、
夢の「声優」の道へ!


小さなころから「演じること」に興味があり、オールナイトニッポンを夜中にこっそり聞くなど、ラジオも大好きだった北村さん。ラジオDJや声優に憧れを持ち、大学在学中に声優の養成学校に通いました。声優になりたいとオーディションに挑戦するも、声がかかることはなく、卒業後は一般企業に就職。システムエンジニアとして仕事をはじめます。
しかし精神的につらくなり、その仕事を退職。改めて声優業に打ち込んでみようと、2018年から、フリーのシステムエンジニアとして独立。プログラミングの仕事をしながら、声優として、技術を磨く日々が続きました。
北村さんは、生まれつき眼球の小さい「先天性小眼球」という病気があり、全盲です。20歳ごろまで色や光はわかったものの、いまでは真っ暗だといいます。
そんな北村さんの転機になったのは、2020年に誕生した日本初の視覚障害者によるナレーション事務所「みみよみ」。スカウトを受け、所属したところ、少しずつ声優の仕事が増えていきました。
盲(もう)の人は、声がきれいな人がモテるというエピソードもあるほど、晴眼者よりもはるかに聴覚に敏感。彼らの“みみよみ”の力には、大きな可能性があるのです。
北村さんは、現在もプログラミングの仕事も続けながら、夢だった「声優」の仕事で活躍の舞台を広げています。

録音から納品データ作成まで、ひとりで完結!
北村さんは原稿を受け取ると、点字が浮かびあがってくる「点字ディスプレイ」という機械を使って指で原稿を読み取りながら、練習します。その後自宅にある防音ボックスの中で、収録。自身で仕込んでいた秒数を知らせる音やノイズの削除などのデータ編集も北村さん自身が行い、納品データ完成まで、たったひとりで行います。システムエンジニアとして、ITツールになじみのある北村さんだからこそできる技です。

※本記事の内容は2022年8月時点のものです。