あなたの街で、あいましょう

インクルーシブな
キッチンカー
キッチンカー「OOPEN!」

キッチンカー「OOPEN!」本日も開店です

冬晴れの昼、11時半を少しまわったころ。都会のまんなかとは思えないほど静かなキャンパスの中を、学生たちがゆったりと歩いています。その一角に、いろづいたイチョウ並木にとけこんでしまいそうなレモンイエローの車と、おいしそうなスパイスのにおい。毎週水曜日に昭和女子大学(東京・世田谷)にあらわれるキッチンカー「OOPEN!」、開店です。

12時をすぎると、おサイフをにぎりしめてまっすぐ車に向かってくる人、しばらくながめてから近づいてくる人、たまたまとおりかかって、おいしそうなにおいにつられて、自転車をおりてきた人。いろんな人が、買いにきます。用意した40食のカレーはあっという間に売り切れてしまいました。

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できることを、できるときにやる

キッチンカー全体の運営を担っているのは、「ハンズオン東京」というNPO法人です。今日このキッチンカーではたらいていた春花(はるか)さん、里歩(りほ)さん、真琴(まこと)さんは、ハンズオン東京からきました。春花さんたちは、それぞれに障害をかかえながら、接客したり、カレーをよそったり、できることをできるときに、やっています。「人と話すことが苦手だった」という春花さんも、キッチンカーの仕事をはじめてから接客が楽しくなりました。そうやって少しがんばると、そのあと、なんだかいい気持ちになるそうです。

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「いっしょにはたらく」が、街の風景になる

キッチンカーで販売しているカレーは、近所の社会福祉事業所「社会福祉法人藍(あい)」が運営するフレンチレストラン「アンシエーヌ藍」でつくられたお弁当。そして、カレーに使われている野菜を調達したり、キッチンカーを運転しているのは、ここ昭和女子大学の学生と明治大学の学生、その2つの大学で経営学をおしえている先生たちでつくった農福連携(のうふくれんけい。障害を持った人などが農業を通じて活躍することをサポートし、社会参画を実現していくとりくみ)の会社「かけわ」です。障害者と大学生、ボランティアも加わって、せまい車内でワイワイ言いながら、今日もおいしいランチを届けているのです。

「障害のある人もない人も、いっしょに楽しくはたらく風景が街の中に自然にあふれるような社会にしたい」と言うのは、ハンズオン東京の加地(かち)さん。いろんな人がかかわって、いろんな人の思いをのせて、キッチンカー「OOPEN!」は今日もどこかの街を走っています。

※本記事の内容は2022年12月時点のものです。