ちょっとはたらく、
やさしい雇用

「はたらきたい」「はたらいてほしい」気持ちにこたえる
神奈川県川崎市にある、サンエレメント株式会社。自動車エンジンのフィルターなどを製造しています。3年ほど前から2人の障害のある人がはたらきはじめました。彼らは、川崎市の「短時間雇用プロジェクト」を利用して、それぞれ週に2〜3日、1日に3時間程度という短い時間、はたらいています。「少しの時間でも、はたらきたい」という人と「ちょっとした仕事をおねがいしたい」という企業の気持ちをうまくマッチングすることで、これまでなかなかはたらくことができなかった人の仕事を生み出しています。

仕事を棚おろしして、切り出す
会社が短時間雇用をうまくとりいれるためには、会社の側にも工夫が必要です。短い時間でもできる仕事を見つけださなくてはいけません。本来の仕事ではないのにかけもちしたり、空いている時間をつかったり、時には残業をしてこなしている仕事はないか、「この部分をだれかにまかせることができたら、効率がぐっとあがるのに」といった仕事はないか、会社の業務を点検して「棚おろし」し、その中から短時間雇用に向いている仕事を「切り出す」ことが必要です。川崎市では「企業応援センターかわさき」が、短時間雇用をしたいという企業と一緒に、相談しながら短時間雇用の取り組みをおこなっています。「棚おろし」をすることで、短時間雇用のための仕事をつくることができるだけでなく、会社の業務全体を見直し、効率をあげることができるのです。

いろんな人がはたらける職場が、会社をつよくする
サンエレメント株式会社で、短時間雇用ではたらくIさん。「朝が苦手だったので、午後からはたらけるところを探していました」といいます。部品の組み立て作業をまかされています。代表取締役の石村秀雄(いしむら ひでお)さんは「まじめで集中力もある。作業効率もどんどんあがってきています」とうれしそうです。仕事になれてきたというIさん、今後ははたらく日数、時間をだんだんと増やしていきたいと話してくれました。
仕事の切り出し方、組み合わせ方を工夫することで、障害のある人だけでなく、高齢者や子育て中の人、海外からやってきた人など、いろんな人がはたらくことのできる可能性が広がります。多様な人がはたらける環境づくりが、会社をつよくするのです。
※本記事の内容は2022年12月時点のものです。