新しい感覚の世界へ
いざなう
水先案内人

暗闇や静寂の世界への
アテンド
ダイアログ・ダイバーシティ
ミュージアム
「対話の森」

新しい感覚・体験の中で、対話が生まれる

東京・浜松町にある、「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』(以下「対話の森」)」。ここでは、ふだんはつかうことのない「感覚」を刺激する、新しい体験型のエンターテインメントを楽しむことができます。真っ暗闇の中、白杖(はくじょう)をたよりにグループで歩き、さまざまな体験をする「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」をはじめ、静寂の世界を体験する「ダイアログ・イン・サイレンス」、人が過ごしてきた時間について考える「ダイアログ・ウィズ・タイム」など、人の感覚や記憶を刺激する体験にあふれています。

「対話の森」での体験に共通しているのが「対話」です。体験していることを通じて、参加している人どうしが語りあうきっかけが生まれるのだといいます。

サブ写真

暗闇の中で、おたがいを認めあう

それぞれの展示においてたいせつな役割をになうのが「アテンド」と呼ばれる人です。「アテンド」は、それぞれの世界へ訪れた人をいざなう「水先案内人」。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」でアテンドをつとめる佐久間麻理子(さくま まりこ)さんには、視覚障害があります。ふだんは見えない、見えにくい世界で暮らしている佐久間さんですが、暗闇の中ではむしろ目の見える参加者を支え、導いていく役割をにないます。「目の見えない人は、助けてあげなければいけない存在」という固定観念が崩れ、「支援する人/される人」という関係から、おなじ「人どうし」として認めあう関係に変化していくそうです。

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見えないことが、力になる

生まれつき「黄斑ジストロフィー」という疾患で見えにくさを抱えていた佐久間さん。一般企業に就職したりもしましたが、やはり「見えない」ことが仕事の上ではハンディになり「できない自分が悪いのだ」と、自信を失っていました。しかし「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とであい、「障害があるからこそ伝えられることがある」、「見えないことが、力になる」ということに気づかされたといいます。

暗闇や静寂、ふだん体験することのできない感覚の中で、新たな自分に気づき、あるいは新しい他者とであう。「対話の森」が提供する体験において「障害があること」は、大きな強みになっているのです。

※本記事の内容は2022年12月時点のものです。