苦手をおぎない、
得意を伸ばす仕事術

「網の目」の関係
コピーセンター絆結

健常者も障害者も、みんながみんなの仕事をする

福岡県福岡市にある、「コピーセンター絆結(ばんゆう)」。たくさんの障害のある人がはたらいています。ここでは、障害のあるなしにかかわらず、おたがいの「苦手」を助けあい、「得意」をいかしあうことで、成長を続けています。

絆結には「営業」「デザイン」「名刺作成」「清掃」などいくつかの部門があり、ふだんはそれぞれわかれて仕事をしています。入社するときに、それぞれの得意なこと、苦手なことを見て、適性にあわせて仕事を決めます。でも絆結では「僕は営業だから、デザインはやらない」とか「僕は社内便だから、名刺のことは知らなくていい」という考え方はしません。「みんなが、みんなの仕事をする」ことが基本です。その中で、誰かの苦手なことがあれば助け、自分の得意なことがあれば、その得意をいかして仕事をする。部門をまたいで、人をまたいで、それぞれがおたがいに助けあう。絆結が「網の目の関係」とよんでいる、社内コミュニケーションのあり方です。

サブ写真

信頼と安心があるから、壁をつくらず話しあえる

「網の目の関係」がしっかりと機能するためには、おたがいを信頼し、上下関係なくフラットに、誰もが思ったことを言いあえる関係性がたいせつです。また、失敗をしても責められない「失敗できる」環境であることも必要です。そうした「安心できる」職場だからこそ、自分をひらき、おたがいのことを深く理解しあうことができます。ときには営業であっても、デザインに意見し、はげしく議論することもあるそうです。壁をつくらずコミュニケーションしあえることも「網の目の関係」ではたいせつなことです。

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清掃で入社した元カメラマン、撮影にチャレンジする

たとえば、こんなことがありました。ある企業から、新しくオープンする施設のポスターデザインと、写真の撮影の相談がありました。絆結には、デザイン部門はありますが、撮影部門はありません。でも、清掃で入社した元カメラマンがいます。カメラマン時代に心を病んでしまった彼ですが、本当は写真を撮ることが好きだということを、職場の仲間は知っていました。そこで「チャレンジしてみないか」と後押しし、営業、デザイナーと一緒になって撮影からデザイン、納品まで無事にできました。

おたがいを信頼し、おたがいの可能性を引き出しあうことができる「網の目の関係」は、会社と仕事、そこではたらく人たちのよりよいあり方を考えるヒントになります。

※本記事の内容は2022年12月時点のものです。