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TOKYO人権 第99号(2023年8月31日発行)
JINKEN note/コラム
セサミストリートがナビゲートする、「インクルーシブシティ東京プロジェクト」を実施
セサミストリートと知る多様性の世界
東京都人権プラザは、2023年秋にリニューアル予定の特別展示で「セサミストリート」のキャラクターを展示のガイド役として起用します。今回は、「セサミストリート」の魅力を紹介しながら、東京都人権プラザが2023年度から3年間で取り組む、「多様性」を軸にした「インクルーシブシティ東京プロジェクト」の概要について説明します。
今回、東京都人権プラザにやってくるセサミストリートは、50年以上にわたって子どもたちを楽しませ、良質な教育を届けてきた子ども向けテレビ番組です。1969年にアメリカで生まれ、テレビを通した就学前の子どもの教育に貢献してきました。
セサミストリートが扱う内容は、識字能力や計算能力などの就学に向けた準備だけでなく、健康的な習慣、自己表現と自己規制、共感、友情など年齢に応じたコンテンツも提供しています。150以上の国と地域の子どもたちに届けられ、エルモ、クッキーモンスター、ビッグバードなどの象徴的なキャラクターは何世代にもわたり世界中のファンに愛されています。
日本でも人気のあるセサミストリートは、テレビ番組に留まらず、学習プログラムとして学校や自治体が活用しており、現在、小学校向けに「セサミストリートカリキュラム」が提供されています。
このプログラムは、セサミストリートのキャラクターとコンテンツを使用し、学校教科における学力の向上だけではなく、子どもたちの社会性や情緒的行動をはじめとした、生涯学習における基礎的な資質の育成を目標としています。
今回、東京都人権プラザがセサミストリートに注目したのは、「多様性」を意識したセサミストリートのテーマ設定です。セサミストリートが扱うテーマの中には、例えば、自閉症、家族の多様性、人種や文化、レジリエンス(忍耐力・回復)などがあり、貧困やトラウマと向き合っているキャラクターも登場します。子どもたちが日常生活の中で困難を感じたときに共感できるキャラクターとストーリーが魅力と言えます。
東京都人権プラザは、東京都が掲げている「インクルーシブシティ東京プロジェクト」の一環として、2023年度から3年間かけて事業を展開していきます。具体的には、特別展示のほか、人権尊重の意義を周囲に広げ、つなげていく「人」、特に子ども・若者を育成することを目的としてユース世代向けと指導者向けの学習プログラムを実施します。
東京都人権プラザの特別展示では、子ども・ユース世代を中心に全世代が人権を学ぶための基礎的な取り組みとして、子どもの権利をテーマにした展示を展開します。多様性を魅力的に表現している「セサミストリート」のキャラクターをガイド役とすることで、子どもにも理解しやすい、親しみのある展示とします。
セサミストリートがナビゲートする「子どもの権利」、「多様性」を実感しに、東京都人権プラザにぜひご来館ください。
執筆 吉田 加奈子(東京都人権啓発センター 専門員)
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