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高齢者を支える新しい取り組み 「高齢者の生活を豊かにするサービス」

印刷ページ表示 更新日:2022年2月28日更新

TOKYO人権 第93号(2022年2月28日発行)

Jinken note/コラム

情報格差(デジタルデバイド)を解消するために

困っている人の画像

 スマートフォンの普及やインターネットを使った技術により、商品やサービスへのアクセスが容易になったと言われています。一方で、情報技術による便利さの恩恵を受けられる人と受けられない人の間に、「情報格差(デジタルデバイド)」が生じています。特に、高齢者(注1)に関しては、インターネットからの情報の入手が難しかったり、家族や友人とのコミュニケーションから孤立し、困りごとを解決しにくくなったりといった課題が生まれています。こうした課題を背景に、高齢者の生活を応援するサービスも生まれています。今回は、新しい発想で運営されている生活支援サービスを紹介します。

ちょっとした手伝いを「100円」で

 株式会社御用聞き(注2)が提供するサービス「100円家事代行」では、5分100円で、電球交換や植木への水やりなど、ちょっとした家事を有償の学生ボランティアが引き受けます。電話などで申し込みを受け付けた後は、依頼者を訪問し、紙の見積書を発行して確認を行った上で契約します。代表の古市盛久ふるいちもりひささんは「効率化することで置き去りにしないようなサービスを心がけている」といいます。

生きがいを応援するために

スタッフの画像

昔ながらの前掛けをかけた御用聞きのスタッフ

 「公的サービスの『すき間を埋める』のが御用聞きです」と、古市さん。「医療保険や介護保険は、最低限の生活を維持することに限定されがちで、どうしても制約がかかります。『最低限』が壁になり、本人にとっては重要なことでもサポートが得られない場合があります。趣味に関することなど、その人にとっての『生きがい』を支えることで、心が元気なまま最期を迎える、そのような高齢者の『生き抜く』を応援したいと考えています」。5分100円のほか、30分2000円の「たすかるサービス」も人気。現在は、東京23区全域と多摩地区の6市(清瀬市、町田市、立川市、八王子市、西東京市、小平市)のほか、大阪府と愛知県でも展開しています。

社会とつながる選択肢を

 オンライン化などによる便利さの半面で、高齢者の社会参加の機会損失など、孤立につながる状況を生み出すことは避けなければなりません。高齢者が住み慣れた地域で安心して生き生きと暮らせるように、今後も情報や人、サービスなど、多くの社会資源とつながる選択肢が増えていくことが不可欠です。

インタビュー・執筆 吉田 加奈子(東京都人権啓発センター専門員)

(注1)高齢者の定義は、法令等によりさまざまであり、日本の医療制度や国連の世界保健機関(WHO)で65歳以上としているほか、日本老年学会の75歳以上とする新定義などがある。

(注2)株式会社御用聞き https://www.goyo-kiki.com/ 申し込み用電話:0120-309-540、受付時間:月~金 9:00〜17:00

その他の「助かる」情報

お一人様の老後を応援する情報誌
ひとり暮らしの高齢者への支援情報を掲載する雑誌『お一人様 老後のこれで安心大丈夫』が2019年から発刊されています。健康維持や介護サービス、居場所づくりなど実用的な情報を紙媒体で発信しています。
生活協同組合(生協)
生活協同組合では、一定年齢以上で配達手数料が割引や無料になる制度もあります。買い物や調理が難しい場合に頼りにできるほか、配達担当者が高齢者の異変に気付いた場合に、事前に取り決めた親族などの連絡先に通報を行う制度があります。