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みんなが遊べる公園「インクルーシブ公園」へ行こう!

印刷ページ表示 更新日:2022年2月7日更新

TOKYO人権 第92号の概要(2021年11月30日発行)

JINKEN note/コラム

色々な人を包み込む(インクルーシブ)場所、「インクルーシブ公園」の存在意義

みんなが遊べる公園「インクルーシブ公園」へ行こう!


様々なニーズに対応した「だれもが遊べる児童遊具広場」とは?


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インクルーシブ公園とは

 障害の有無に関係なく楽しめる遊び場や遊具を備えた「インクルーシブ公園」が注目を浴びています。車いすで登れるすべり台、背もたれのついたブランコなどが遊具の一例で、全国で設置が広がりつつあります。東京都内では2020年に世田谷区にある砧(きぬた) 公園内の「みんなのひろば(注1)」、豊島区の「としまキッズパーク(注2)」がオープンし、都民に愛される公園として定着しつつあります。今回は、特徴の異なる二つの公園を訪れ、インクルーシブ公園の魅力を探りました。

砧公園「みんなのひろば」

写真:親子で一緒に滑れる幅広の滑り台
親子で一緒に滑れる幅広の滑り台(砧公園「みんなのひろば」)
©(公財)東京都公園協会

 「みんなのひろば」は、2020年3月、東京都が手がける「だれもが遊べる児童遊具広場」の都立公園第1号(注3)として、砧公園内にオープンしました。面積は約3200平方メートル。緑豊かな砧公園の一角に造られた見通しの良い広場です。肢体不自由や知的障害、視聴覚障害などのある子どもの関係者への聞き取りに基づいて整備を行いました。寝転んで乗れるブランコや親子で使える幅広の滑り台、車いすで通りやすい迷路など、多様なニーズに応える工夫が、至るところに見られます。

としまキッズパーク

 「としまキッズパーク」は、2020年9月、豊島区が小学校低学年までの子どもや障害のある子ども向けの公園として設置しました。園内をミニトレインが走り、赤で統一された遊具、遠景に見える高層ビルが、大都会の中のテーマパークを思わせます。約1060平方メートルと小規模で、園内には、車いすに乗ったまま遊べる砂場や横に2人並んで座れるブランコがあります。スタッフが常駐し、注意が届くため安心して遊ぶことができます(時間制で入替あり。事前予約制)。

「みんなが遊べる公園」であるために

園内を循環するミニトレイン 車いすを寄せやすい砂場
上:園内を循環するミニトレイン
下:車いすを寄せやすい砂場
(としまキッズパーク)

 従来の公園には障害のある子どもが安全に遊べる遊具が少なく、子どもにとっては「公園に行きたい気持ちが起きない」、保護者にとっては「子どもが暴走して迷惑をかけるのでは」といった心理的な距離感があり、誰もが楽しめるはずの公園が、おのずと「遊べない空間」になってしまっているという課題がありました。
 今回、訪れた二つの公園は、大勢の子どもたちでにぎわう人気の公園であり、色々な人を「包み込む(インクルーシブ)」場所として成り立つインクルーシブ公園の存在意義を感じました。例えば、今まで外出をためらっていた人が「自分を受け入れてくれる場所がある」と感じられること、訪れた人が「この遊具はなぜこうなっているのだろう」と施された工夫を想像してみるなど、ここに至る様々なニーズを意識させられます。もっと「色々な人」がいることを知り、互いに接点を持ちながらみんなが遊べる場所として、公園の持つ可能性が広がり始めたと言えます。

インタビュー・執筆 吉田 加奈子・林 勝一・村上 由鶴(東京都人権啓発センター 専門員)


(注1)砧公園:世田谷区砧公園1-1 Tel 03-3700-0414 入園料無料

(注2)としまキッズパーク:豊島区東池袋4-42 Tel 03-4566-2697 入園料無料・事前予約制(利用時間は1時間の完全入替制)予約サイト:https://coubic.com/toshima-kidspark

(注3)第2号が2021年10月に府中市の府中の森公園にオープン。国営昭和記念公園や渋谷区、足立区などの区立公園にもインクルーシブ遊具設置の動きが広がり始めている。