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「食べる・遊ぶ・笑う こども食堂」って?

印刷ページ表示 更新日:2022年2月7日更新

TOKYO人権 第85号(2020年3月31日発行)

コラム

全国の「こども食堂」を多世代交流の拠点に!
「食べる・遊ぶ・笑う こども食堂」って?

「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」(以下、「むすびえ」)は、東京おもちゃ美術館と協働で、2019年から全国で「食べる・遊ぶ・笑う こども食堂」を開催しています。
その背景や目的について、マネージャーの三島理恵(みしまりえ)さんにお話しいただきました。


 「こども食堂」は、2012年に、東京都大田区にある「気まぐれ八百屋だんだん」で始まったとされています。そもそもボランティア活動として始まったこともあり、しばらくの間その数が把握されることはありませんでしたが、2016年に朝日新聞が独自に行った調査で、全国に319か所あることがわかりました。その後、2018年に「むすびえ」の前身団体が行った調査では一挙に増えて2,286か所、さらに翌年には3,718か所になっていました。一方で、16歳以上を対象とした調査(2019年)では「こども食堂を知っている」と答えた人が8割を超えていましたが、2018年に朝日小学生新聞が行った調査で「こども食堂に行ったことがある」と答えた子供の割合は、全体の5~6%にとどまっています。

顔写真
三島理恵さん

 この現状について、全国にある「こども食堂」の支援活動をしている「むすびえ」の三島さんは次のように話します。「これは大人が『こども食堂』を正しく認識していない証拠。親や学校の先生が『今日はこども食堂の日だから行っておいで!』と、気軽に呼び掛けることができていないのだと思います。その理由は、まだどこかに福祉的なイメージがあるからではないでしょうか」。

 そんなイメージを打破すべく、2019年、「むすびえ」は新たなプロジェクトを開始。それが「食べる・遊ぶ・笑う こども食堂」です。新宿区にある「東京おもちゃ美術館」と協働で始めたこのプロジェクトは「全国のこども食堂を多世代交流の拠点にしていくこと」を目的に、約3年をかけて47都道府県で開催されることになっています。プロジェクトの内容は、その名のとおり、ともに食事をとるだけでなく、一緒に遊び、お話を聞きながら同じ時間を楽しむこと。協働するパートナーに東京おもちゃ美術館を選んだのは「同館が養成した『おもちゃコンサルタント』と呼ばれる、おもちゃや遊びに精通した人材が全国に約6,000人いて、目的を同じくしていたからです」と三島さんは話します。そして、「笑う」の部分は、地域活性化のために全国47都道府県に住んで活動している吉本興業の「住みます芸人」の方々が担いました。

写真:むすびえが行ったイベントの様子
山口県宇部市で(2019年)

 東京では、2019年11月に、八王子市にある「こども食堂 ふくろうはうす」で開催されました。通常は30人くらいが集まる会場に、その日は93人も集まり、団らんしながら食べて、おもちゃコンサルタントが持参したおもちゃで遊び、ときには芸人が参加者の輪に入り笑いを誘い、まさにプロジェクト名どおりの「こども食堂」になったそうです。これまでに7都県で実施され、初めて参加する人も多いとのこと。「鹿児島県で実施した際、町内会の掲示板に、こども食堂の日時を知らせるチラシが貼ってあるのを目にし、こども食堂が『地域のインフラ』になりつつあることを実感してうれしくなりました」(三島さん)。

 「こども食堂」を、貧困という社会課題への対策だけではなく、「高齢者の生きがい」「共働き世代の支援」「子育て支援」など多くの地域課題に対応できる場へ変えていこうとする方向性は、多様な主催者(お寺や商店、PTAや保育士など)と食堂の支援者(個人や企業)とともに、参加する人たちを多様化させていくことにつながっています。子供や親子連れのみならず、今では多くの「こども食堂」が高齢者をはじめ、地域に門戸を開いています。「こども食堂ネットワーク」の公式サイトでは、自分の地域にある「こども食堂」を探す機能があります。皆さんも一度、地域住民の一員として、近所の「こども食堂」に顔を出してみてはいかがですか?

インタビュー/坂井 新二(東京都人権啓発センター専門員)
編集/那須 桂

もっと知りたい!

「NPO 法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」

https://musubie.org/<外部リンク>

「むすびえ」の公式サイトには、「こども食堂」を立ち上げるためのノウハウや、「こども食堂」に関する情報が満載!

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