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TOKYO人権 第84号(2020年3月4日発行)
特集
人権のミュージアムへ行こう
Jica 地球ひろばのシンボル「地球ナビ」
都内には人権問題をテーマにしている、またはそれに関係している博物館や資料館、図書館など、いくつかの施設があります。人権についての研修や修学旅行、人権学習等の機会に、こうした施設を訪問する人たちも多く、団体訪問の需要は高まっていると言えるでしょう。
そこで、今回の特集では、そうした「人権のミュージアム」と呼べるような施設の中から、5つの施設をピックアップして紹介します。
行って、見て、聞いて、触れて、人権を学ぶ一つのきっかけにしてみてください。
独立行政法人国際協力機構(Jica/ジャイカ)の関連施設として、2006(平成18)年「市民参加による国際協力の拠点」を掲げて渋谷区広尾に設立。2012(平成24)年に現在の新宿区市ヶ谷へ移転した。国際協力活動の応援や、開発途上国の人々への共感や連帯感を育む“ひろば”として、国際協力に関する様々な情報提供が行われている。
児童・生徒を対象とする、国際理解教育に対応したグループ向けプログラムを積極的に展開し、全国から訪れる修学旅行生も多い。2017(平成29)年には、NGO・市民団体による施設利用者と合わせて、累計来場者150万人を達成。
新宿区市谷本村町10-5 Jica市ヶ谷ビル内
JR・東京メトロ・都営新宿線市ヶ谷駅から徒歩10分
03-3269-2911(総合案内)
交流ゾーン9時00分~21時30分 体験ゾーン10時00分~20時00分(平日)、10時00分~18時00分(土日・祝日)
無料
交流ゾーン 年末年始(12月29日~1月3日)、その他別に定める日(施設検査日等) 体験ゾーン 毎月第1・3日曜日
要申込(120分程度)対象:小学校高学年から一般
体験ゾーン中央にある「地球ナビ」はJica地球ひろばのシンボル。LED大画面と、“地球”をイメージした直径1.2メートルの高精細な球体LEDディスプレイは連動しており、来場者が自由に映像を操作できる。
アイヌ文化交流センターは、公益財団法人アイヌ民族文化財団が、首都圏に居住するアイヌの人々の交流活動や、アイヌ文化の伝承活動等を支援するために設置した施設。一般向けには、公開講座の開催、アイヌ文化に関する情報の収集・発信の場としての機能を持っている。
工芸品を見る、図書を読む、映像や音声資料を視聴することはもちろん、伝統的な刺繍体験や舞踊体験など、様々な講座や団体向けの体験学習プランに参加することも可能。また学校等を対象とした「アイヌ文化体験キット」の貸出も行っている。
中央区八重洲2-4-13 ユニゾ八重洲2丁目ビル 3階
R東京駅八重洲南口から徒歩5分
03-3245-9831
10時00分~18時00分
無料
日曜日・月曜日(国民の祝日・休日に当たる日を除く)、国民の祝日・休日の翌日、年末年始(12月29日~1月3日)
要申込(60~90分程度)希望時間に合わせてプログラムを自由に組み合わせることができる。
団体向けの学習プログラムが充実。展示品や展示パネルの解説の他、アイヌの伝統楽器「ムックリ」を演奏する体験、アイヌ衣服着用体験等。衣装を着て写真撮影することもできる。
レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』
製作:アンテロス美術館(個人蔵)
社会福祉法人日本点字図書館が設置した博物館。立体化など、触察(しょくさつ:触って観察するという意味)のためのアレンジをほどこした絵画作品等を展示。また視覚障害者が使用する様々な生活機器も収集している。多くの美術館・博物館が、立って鑑賞するスタイルを主体としているのに対して、机の上に作品を置き、椅子に座って、触って鑑賞することができる。大型作品は展示台に固定、小さな作品は手の上に乗せて触る等、安全な鑑賞方法を追求している。
新宿区高田馬場2-3-14 アイ・ブライト2階
JR・西武新宿線・東西線高田馬場駅から徒歩10分ほか
03-3209-0241/090-3247-7290(開館日のみ)
10時00分~16時00分(入館は15時00分まで)
無料
毎週水・金・土曜日(年末年始・祝日休館 臨時休館あり)
5人以上で来館の場合は事前連絡が必要。
晴眼者と視覚障害者が、同じ展示作品を介して感じたことや考えたことを語り合うことにより、新しいコミュニケーションが生まれるといった効果が期待されている。
患者が暮らした 雑居部屋再現展示
国立ハンセン病資料館は、ハンセン病に対する偏見・差別の歴史を踏まえ、患者・回復者とその家族の名誉回復を目的に、正しい知識の普及啓発に取り組んでいる。その敷地は国立療養所「多磨全生園」に隣接。約900平方メートルの常設展示スペースで歴史資料やモノ、再現模型や証言映像を通して、患者・回復者が生きた証を示すとともに患者を終生隔離してきた過ちの歴史を伝える。他に企画展や当事者による講話なども実施。子供向け企画や出張講座(講師謝金不要)など多様な教育啓発事業も展開。
東村山市青葉町4-1-13
西武池袋線清瀬駅南口からバス10分ほか
042-396-2909
9時30分~16時30分(入館は16時00分まで)
無料
月曜日・国民の祝日の翌日(ただし、月曜が祝日の場合は開館)、年末年始、館内整理日
要予約。10人以上。各種見学プログラム。小中学校向け無料送迎バスを用意(台数上限あり、申込期間あり:例年1月~2月頃)
療養所入所者の平均年齢は86歳:国立施設平均・2019(令和元)年5月。過ちがくり返されないことを願って当事者が設立した施設を前身とする。
1929(昭和4)年明治大学刑事博物館として開設。法律学校を前身とする同校の建学の精神にのっとり、刑事博物をとおして罪と罰の世界にふれることで、人権抑圧の歴史を語り伝えることを設置目的としている。歴史的に有名な法令文書、高札、江戸時代の捕者道具や拷問・刑罰道具等を収集展示。2004(平成16)年に商品博物館・刑事博物館・考古学博物館を統合してリニューアル開館した。
千代田区神田駿河台1-3 駿河台キャンパス・アカデミーコモン地階
JR御茶ノ水駅から徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線御茶ノ水駅・千代田線新御茶ノ水駅から徒歩8分ほか
03-3296-4448
10時00分~17時00分(入館は16時30分まで)
常設展無料
8月10日~16日、12月26日~1月7日。それ以外に8月の土日に臨時休館日あり。
要申込(45分~90分)解説希望の場合は事前に申し出が必要。
複製品としてギロチン、ニュルンベルクの鉄の処女(アイアン・メイデン)を国内で唯一展示している。
能動的に触れて感じることのできる展示がメインとなる「体験ゾーン」は、水くみのバケツやブルキナファソの教室が再現され、水や教育など身近なテーマから、国際協力や開発途上国の現状といった地球規模の大きな課題について学ぶことができます。
地球全体を学びの対象とし、環境問題を含めた世界が抱える問題や、また2030年までの国際目標Sdgs(持続可能な開発目標)についても展示が行われています。持続可能な社会の実現に向けて、広い視野を持つことの重要性を再認識すること必至です。
展示を案内してくれるのは、開発途上国で実際に活動した「地球案内人」。豊富な海外経験を持つガイドから、臨場感ある体験談を聞き、質問ができるのも魅力の一つで、途上国の実情や国際協力への関心や理解が深まり、未知の世界に目を向けるよいきっかけを与えてくれることでしょう。
他にも、様々なテーマのイベントやセミナーも開催しており、プラスアルファの知識や理解を得る上でも、有意義な施設といえます。
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