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TOKYO人権 第53号(2012年2月29日発行)
コラム
観戦してみよう! 障がい者プロレス
障がいのある人同士、あるいは、障がい者と健常者が、リングの上で対戦するエンターテインメント。それが障がい者プロレスです。まずは、その中身を知ることから始めてみましょう!
今回は、1991年から障がい者プロレスの興行をしている団体、「ドッグレッグス」の代表を務める北島行徳(きたじまゆきのり)さんに、障がい者プロレスについて教えていただきました。
ドッグレッグスでは、障がいの程度によって、選手たちを次のような階級に分けています。(1)ヘビー級(立って闘う階級)、(2)スーパーヘビー級(座位または膝ひざ立ちで闘う階級)、(3)ミラクルヘビー級(スーパーヘビー級よりも障がいの状態が重い選手が闘う階級)、(4)無差別級(障がい者、健常者を問わず膝立ちで闘う階級)。試合は、原則として3分3ラウンドです。北島さんによると、障がい者プロレスは総合格闘技に近く、KOかギブアップかで勝敗がつくとのこと。
通常のプロレス団体と同様、興行の目的には、「エンターテイメントショーとして観客を楽しませること」と「真剣に勝負をすること」の2つがあります。ショーである以上、観客はチケットを購入のうえで観戦します。各選手にはリングネームもあるし、試合を盛り上げる実況も入るし、時には選手たちによるマイクパフォーマンスもあります。選手の激闘ぶりに会場から歓声が沸くこともあれば、選手のユーモアあふれるトークに笑いが起きることもあります。つまり、通常のプロレスとの大きな違いは、大半の選手が障がい者であることと、選手もスタッフもボランティアであるという2点だけと言ってもいいでしょう。
いくらショーとはいえ、格闘には、怪我のリスクが伴います。障がいがある分、そのリスクはどうしても高くなってしまいます。しかし、選手たちは皆、自らの意思で、「やりたいことをやりたいようにやっている」だけなのです。北島さんは、ドッグレッグスを立ち上げた理由について次のように話します。「障がいのある人たちが自らを表現する場所は、絵画、芝居、調理など数えきれないほどあります。でも、その発表を見に来たり、作品を購入したりする人たちの大半が、障がい者の家族だったり、ボランティア関係者だったりする。僕は、それ以上のことをやりたいと思っていました。一般の人たちが価値を見出して、お金を払いたいと思えるものは何だろう、そう思っていた当時、障がいのある2人の男性が、ボランティアの女性を巡めぐって、取っ組み合いの喧嘩を始めたんです。見ていたら、プロレスの技が入った。それを見たときに、『これだ!』って思ったんです(笑)」。
障がいの有無に関係なく、真剣勝負は面白い。そこにエンターテイメントという付加価値が付いているならなおさらのことです。百聞は一見にしかず。ドッグレッグスの公式サイト内には、過去に行われた試合の一部が動画で見られるようになっているので、興味を持たれた方は、公式サイトを今すぐチェック! なお、興行は年に3回ほどおこなっています。試合には、新人からベテランまで20人くらいが出場しています。
インタビュー/田村鮎美(東京都人権啓発センター 専門員)
編集/那須 桂
チラシ画像(PDF形式: 11.4KB)<外部リンク>
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