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理事長メッセージ
21世紀は、「人権の世紀」といわれています。昭和23(1948)年の国連総会において「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と謳われた「世界人権宣言」が採択されて以来、わが国も、人権が尊重される社会の実現を目指して、さまざまな取組を行ってきました。
一方、私たちが暮らす社会を見渡すと、残念ながら、今なお様々な人権侵害が生じています。最近では、新型コロナウイルス感染症に端を発する差別やいじめ、インターネットを介した匿名型の誹謗中傷など、これまで経験したことのない新たな問題も生じており、差別や偏見を解消する取組が、ますます重要になってきています。
記憶に新しいところですが、2021年の夏、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」が、満を持して開催されました。国際オリンピック委員会(IOC)によって定められた「オリンピック憲章」では、オリンピズムの根本原則として、「いかなる種類の差別も受け入れない」旨が謳われています。また、この大会の基本コンセプトのひとつとして、「多様性と調和」が掲げられました。こうしたことから、「人権尊重都市・東京」の実現が喫緊、かつ、重要な課題となっています。
弊財団は、「同和問題をはじめとする人権問題の解決に資するため、人権に関する教育・啓発及び人権の擁護等の事業を実施し、都民の人権意識の高揚を図る」という設立目的に則るとともに、日々刻々変化する人権を取り巻く環境に惑わされることなく、かつ、東京都と緊密に連携しながら、人権問題の解消に向けて多様な普及啓発事業を展開して参ります。具体的には、「インクルーシブシティ東京」の実現に向けて「ユース世代」に光を当てた「参加・体験・交流型」のプロジェクトを推進するほか、情報誌「TOKYO人権」の発行等の普及啓発、企業等が主催する人権研修への「講師派遣」や、都内の小・中学生を対象とした「人権学習会」の実施、各種「人権相談」への対応、「東京都人権プラザ(東京都から管理受託)」を活用した「企画展」の実施や、都民向けの「人権問題都民講座」の開設等を着実に実施して参ります。
また、これらの事業を実施するに当たり、コロナ禍の終息も視野に引き続きオンライン方式を積極的に活用するほか、インターネットを通した最新の情報提供や、都民の注目を集める人権啓発ポスターの作成等の広報にも注力して参ります。
弊財団は、東京都の公益法人として、今後とも、「個人の尊重」と「法の下の平等」の保障という観点に立脚し、人権に関する様々な課題を看過することなくしっかりと見据え、差別や偏見のない明るい社会の実現に向けて、役職員一丸となって取り組んで参ります。
令和6年1月1日
公益財団法人東京都人権啓発センター
理事長 中村 長年