東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第74号(平成29年5月31日発行)

コラム

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読み終えた本が世のため人のために 寄付した本が寄付金に生まれ変わる「チャリボン」

 いつの間にか部屋が本でいっぱいになって困る。でも、思い入れがあるから捨てるのは気が進まない…。それならば、「寄付」してみてはどうでしょう?
 古本の買取代金が、自分の選んだNGO/NPOに寄付されるという、部屋も片付いて社会貢献もできる魔法のような取り組みについて取材しました。

顔写真

鳥居 希さん

 「チャリボン」は、インターネット古書店を営業する(株)バリューブックスが、おこなっているファンドレイジング(寄付金集め)を支援する仕組みです。名前は“チャリティー”と“本”に由来します。通常の古本の買取では、本の買取代金はバリューブックスから売主に支払われます。しかし、チャリボンでは、代金が本の寄付者が指定した団体に支払われます。そうして同社に集まった本は、古書としてネットで販売されます。チャリボンを活用し寄付金を募るのは、子どもや若者の支援、障害者支援、難民支援など、人権に深く関わる社会課題の解決に取り組むNPOや大学など160以上の団体です。2010年にこの取り組みが始まった当初、寄付された本は年7万3,000冊、約200万円でした。それが2016年には、年300万冊、約6,800万円にもなりました。

 チャリボンでの寄付が増えている背景には2つの理由があります。1つは、お金よりもモノでの寄付の方が、寄付をする人にとっても、寄付を呼びかける団体にとっても気負わずにできるということ。もう1つの大きな理由は、バリューブックスが持続可能な寄付の仕組みを追求したことです。同社の取締役でチャリボンの運営に携わる鳥居 希(とりいのぞみ)さんは、次のように話します。

写真:たくさんの本棚がならんでいる様子

長野県上田市にある(株)バリューブックスの倉庫。
在庫は183万冊!

 「チャリボンはCSR(企業の社会的責任)としての活動ではないんです。そもそもの事業主旨が『本を通して社会を良くしていきたい』ということにあります。本業の業績が思わしくなかったら止めてしまう活動ではなく、本業と同じ仕組みを使って寄付を集め、本業の中に寄付金集めのプロセスを組み入れています。買取代金の支払先が売主なのか寄付先なのかは異なりますが、本を買い取るのも寄付として受けるのも、古書を仕入れる方法としては区別していません。そのような方法で、本業を生かした価値を社会に還元しています」(鳥居さん)。

 2011年の東日本大震災では、チャリボンの仕組みが大いに生かされることになりました。陸前高田市の図書館が津波で壊滅的な被害を受けたことが報道されると、日本中から同市に書籍の寄付が殺到したのです。しかし、その時点で必要だったのは書籍そのものではなく、図書館再建に必要な資金でした。そこで、バリューブックスは2012年に「陸前高田市ゆめプロジェクト」を開始しました。これは、同プロジェクト宛に寄付された本の買取代金を陸前高田市に寄付するというもので、2017年3月末までに約200万冊の本が寄付され、それが3,700万円超もの寄付金になりました。現在、同市では新図書館の開館に向け、着々と準備が進められています。

 本を寄付してくれる大勢の人たちの気持ちを推し量り、同社の廣瀬 聡(ひろせさとる)さんはこう言います。

 「本好きの人たちにとって、大切な本を手放すのはとても心が痛むことです。でも、本の寄付が社会の役に立つなら、さわやかでポジティブな気持ちになれると思うんです。チャリボンをそういうふうに活用してもらえればと思います」(廣瀬さん)。

 大切な本を捨てずに部屋を片付けることができ、さらに人を喜ばせることもできることから、学校や企業など、グループ単位で古本を集めてチャリボンで寄付する人たちも増えているようです。皆さんも、読み終えた本で、少しだけ社会課題の解決に参加してみませんか?

インタビュー/鎌田 晋明(東京都人権啓発センター 専門員)
編集/那須 桂

もっと知りたい!

チャリボンのロゴ
チャリボン
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本を送るだけで、社会のために活動をおこなっている様々な団体に寄付することができます。支援先や寄付の方法はホームページを見てください。
株式会社バリューブックスのロゴ

<取材先情報>
株式会社バリューブックス外部サイトへ移動しますhttp://www.valuebooks.jp/

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