東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第64号(平成26年11月20日発行)

コラム

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障害者の「私、できるかも!?」を応援するフリーマガジン『Co-Co Life☆女子部』

女性がおしゃれや恋愛に関心を持つことは、障害の有無に関係ありません。そんな当たり前なことを躊躇しがちだった当事者が、初めの一歩を踏み出せるように後押しするのがフリーマガジン『Co-Co Life☆女子部(ココライフじょしぶ)』です。編集長の大部令絵(おおぶのりえ)さんにお話をうかがいました。

顔写真

大部令絵さん
誌面で紹介した障害者専門のエージェントの仲介で就職できた読者も。うれしいですね!

 『Co-Co Life☆女子部』は障害を持つ女性を対象として、2012年8月に創刊したフリーマガジンです。メイクやファッション、旅行から恋愛まで、女性が興味を持つさまざまな話題が当事者の視点で編集されています。約40名のスタッフは全員がボランティアで、中心となるのは、さまざまな障害をもつ20~30代の女性たち。そこに、健常者でプロの編集者やスタイリスト、定年退職した人たちなどが加わり、企画や取材、広告営業、配本などを分担しています。年4回、毎号1万部を発行しており、配布先は、病院や社会福祉協議会、障害者支援団体など、全国500カ所以上。現在も配布拠点を開拓中です。

 「雑誌のコンセプトは『共感』と『きっかけ』です」と話すのは、第4号から編集長を務める大部令絵(おおぶのりえ)さん。自らも下垂体機能低下症というホルモンに関わる難病を抱えながら、埼玉県立大学で保健医療福祉学部の特任助教として働いています。「障害者も楽しめるおしゃれや、リアルな恋愛体験談などに触れることで、読者が『私にもできるかも』と感じ、一歩を踏み出すきっかけをつかんでくれたらうれしいです」と大部さんは言います。彼女もそうでしたが、『Co-Co Life☆女子部』のスタッフは読者モデルを経験したことがきっかけで活動に加わることが多いそうです。目的は、友達作りや新しい世界への興味、記事を書いてみたいなど、さまざまです。

 ほとんどのスタッフは雑誌制作の経験がないため、一緒に活動するプロの編集者が記事の書き方などをサポートしています。また、車いす利用者が一人では行けないような場所へ取材に行くときは、車いすを運んでくれる人手を募ります。あるいは、障害のため数を数えられないスタッフが記事を書くと文字数が多くなりすぎることがあります。そういう場合は、プロのデザイナーが見栄えよく誌面に収まるよう工夫するなど、さまざまな協力と試行錯誤を経て雑誌はつくられています。

冊子表紙

最新号となる第10号は2014年11月末発行予定。
ホームページでは電子ブック版も読める。

 編集長としての大部さんの目標は「協賛企業や広告収入を増やし、発行を続けるための資金を確保すること」だと言います。部数を無駄にしないため、全国の設置先に電話で残部を確認し、次号の設置部数を調整しています。それは手間のかかる作業ではあるのですが、読者の反応を知る貴重な機会にもなっています。

 ほかにも、読者から直接、感想や意見が寄せられることも少なくありません。「障害を持つ中学生の娘が、いつか読者モデルをしたいと言っています」と母親から声をかけられたこともあれば、80代の女性から「女子部に入りたいのですが」と問い合わせが入ったこともあったそうです。この雑誌がさまざまな人のやる気を喚起していることに「やりがいを感じます!」と大部さんは笑顔を見せます。「対象は障害者ですが、健常者にもぜひ読んでもらえたら。当事者だけではバリアフリーな世の中は実現しません。障害者が日常生活でどんなことを気にしているのか、雑誌を通して一緒に考えてもらうことで、少しずつ障害者への理解を深めていただければうれしいです」(大部さん)。

 『Co-Co Life☆女子部』を手に取って、「みんなが生きやすい、優しい社会」を考える初めの一歩を踏み出してみませんか。

インタビュー/鎌田 晋明(東京都人権啓発センター 専門員)
編集/小松 亜子

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