東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第54号(平成24年6月29日発行)

コラム

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インクルーシブなファッションショー 「ぱれコレ2012」に行こう!

障害者も当たり前に地域に暮らす一員として、包み込み支えあう社会。そんな“インクルーシブな社会”の実現に向けた取り組みを続ける人たちが、この夏、ファッションショーに挑戦します!

写真:NPO法人ぱれっとのみなさん

 5月のある日のこと。渋谷区の集会室で、知的障害のある人を支援する「NPO法人ぱれっと」の利用者を中心に20人ほどが、表現力を身に付けるためのワークショップを楽しんでいました。全員が自由に歩き回り、合図が出たらパッと2人組になって、自転車や扇風機を体全体で表現します。2人組の次は3人組で自動車、5人組でバラの花など、どんどん難しくなっていきます。

 5回にわたるワークショップの進行役を務める舞踏家の金野泰史(こんのやすちか)さんは、「知的障害のある人に対する認識が変わった」と話します。「彼らの表現は豊かだし、ちゃんと筋の通った理由がある。その点では健常者と何も変わらないんだと気付きました」。

 さて、このワークショップの最終的な目標が「ぱれコレ2012」です。障害のある人、ない人、服飾を学ぶ学生、専門家が協力し合って、ファッションを通して自分を自由に表現しようというイベントです。

左右木 歩さん

 このイベントの実行委員長でぱれっと職員の左右木歩(そうきあゆみ)さんは次のように話します。「障害によってできないことはあります。でも、健常者にはなかなかできなくて、彼らにできることがたくさんあるんです。そのひとつが『表現』です。たとえば『おもしろいポーズをしてみよう』と言われても、ふつうは躊躇しますよね。でも彼らはその場ですぐできてしまうんです。しかも個性的に」。

 この日とびきりのポーズを見せていた知的障害のある林利枝子(はやしりえこ)さん。子どもの頃、女優を夢見ていたという彼女は「原点に戻って素直な自分を出したい。新しい自分を発見したい」と意気込んでいます。

 左右木さんは「既成のルールに縛られず、感じるままに自分を表現する能力には驚かされます。それって実は今の社会が必要としているものだと思うんです。ですからワークショップを通じて可能性をもっと引き出して多くの人に見てもらいたい」と話します。こうして企画された「ぱれコレ」ですが、2010年に第1回目が企画された当初は専門家と理解し合うのが大変だったそうです。「たとえば、私たちは障害のある人たちの表現を主人公にしようとしますが、専門家の人たちは自分のスタイルにはめこもうとします。でもいっしょに創り上げていく中で、専門家の人たちが次第に既存の枠を越えて考えてくれるようになった。関わっている人たちがそうやって変わっていくのを見ると『ヨシッ』と思いますね」。

  これこそ「ぱれっと」の目指すもの。左右木さんは「障害のある人を社会に押し出し、福祉と関わりのなかった人たちを巻き込んで活動することを大事にしています。このイベントも障害者のためではなく、障害者と共に創り上げたい」と話します。

 設立30年を迎える「ぱれっと」がこれからの社会に向けたメッセージ。この夏、感性がはじける新しい彩りに満ちたステージを見に、出かけませんか?

インタビュー/林 勝一(東京都人権啓発センター専門員)
編集/小松亜子

ぱれコレ2012〜融合と創造〜

写真:team paletteの舞台風景
日時:
2012年7月29日(日)
第1回 13時00分から 第2回 15時30分から
有料、定員各150名
会場:
文化ファッションインキュベーション 11階Hall
(渋谷区桜丘町23-21)
開催のための寄付を募集しています。
外部サイトへ移動しますhttp://readyfor.jp/projects/plcl2012
チケットのお申込み、お問い合わせは「NPO法人ぱれっと」まで
電話:03-5766-7302
外部サイトへ移動しますhttp://www.npo-palette.or.jp

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