東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第49号(平成23年3月23日発行)

リレーTalk

ここから本文です

アイヌの伝統文化で民族の誇りを取り戻す 魂に深く響くアイヌの五弦琴“トンコリ"

写真:やはたともこさん

関東ウタリ会 事務局
八幡智子(やはたともこ)さん

首都圏で暮らすアイヌの人たちの交流の場となっている「関東ウタリ会」。アイヌ自身がアイヌの文化・芸能などを学ぶことによって、民族としての自信や誇りを取り戻そうと活動しています。また、多くの人たちにアイヌのことを知ってもらうためおこなっているさまざまな取り組みについて、事務局の八幡さんにお話をうかがいました。

 前身の“東京ウタリ会”を発展的に解消して現在の“関東ウタリ会”が発足したのは1980(昭和55)年です。さまざまな悩みを抱えているアイヌの人たちのために話ができる場を作ることが設立の目的の一つでした。

  関東の人たちはあまり知らないかもしれないけど、首都圏にもアイヌの人たちがたくさん暮らしています。今、中高年になる人たちは、北海道では差別が厳しく、働き口が無いため、若いころに仕事を求めて都会へ出てきました。ところが、東京へ来ても差別はなくならなかった。わたし自身、思い出したくもないようなひどいことを、たくさん経験しましたよ。だから、悩んだり困ったりしているウタリ(「同胞」の意。アイヌのこと)の受け皿になるのは、この会の大きな役割の一つなんです。

  お互いを元気づけ励ましあいつつ、一方では、アイヌの伝統文化を継承していく活動もおこなっています。毎年3月には講演会がメインの「アイヌ文化と人権の集い」。それから、毎月第一火曜日の夜と第三土曜日の昼、東京駅八重洲口近くにあるアイヌ文化交流センターで「アイヌ刺繍教室」を開いています。毎年1月には「アイヌ文様作品展」を開催して、わたしたちの作品とともに、受講している生徒さんたちの作品を展示します。生徒さんはみなシサム(「隣人」の意。和人のこと)ですが、わたしたちの文化を知ってもらう良い機会だと思っています。

  また、アイヌの民族楽器の“トンコリ”という五弦琴の演奏もおこなっています。「生の演奏を聴きたい」というご要望があれば、全国どこへでも出かけていきますから、ぜひ声をかけてくださいね。

  じつは、わたしたちが使っているトンコリは、すべて自作なんですよ。12〜13年前、初めて手に入れたのは鳴らない飾り物で、北海道の民芸品店の人も「まさかこれを演奏する人が現れるとは思わなかった」と驚いていました(笑)。さらに困ったことに、楽器が大きすぎて、演奏中に よく手が痛くなって。そこでわたしたちは、博物館にあった古いトンコリを見せてもらい、内部の構造まで徹底的に調べて、良く鳴る、自分たちの手に合ったものを作ったというわけです。

  トンコリの音色はとても素朴で、心に響きます。アイヌ文様作品展の会場で、わたしたちの演奏のCDをかけていた時のことですが、朝から晩までずーっと会場にいて、帰り際に「すごく元気をもらいました」と声をかけてくれたり、なかには聴きながら涙を流す人もいました。わたしたちの音楽が、だれかを癒し元気づけることができるのは、とてもうれしいことです。主婦をしながら活動するのは大変だけど、続けてきて本当に良かったなぁって思いました。

  アイヌ文化の活動をしたからといって、それがすぐにアイヌの人権向上につながるわけではないけど、アイヌ自身がアイヌの文化を知り、担い手になっていくことが、自分たちを元気づけることにつながるんじゃないかな。だから、差別を受けて苦しんでいるウタリたちにもわたしたちの活動を知ってもらい、アイヌ民族としての自信や誇りを持って、強く生きていく糧にしてもらえたら、と思っています。

アイヌラマチ(アイヌの魂)からのメッセージ アイヌの五弦琴 トンコリのしらべ

CDカバー

関東ウタリ会

東京国立博物館の資料を参考に自ら復元製作したトンコリによる合奏のほか、ウポポ(歌)も収録。全14曲。

CD 2,800円(税込、送料別)

問い合わせ先 関東ウタリ会 事務局 八幡宛

ファックス:047-445-6662

このページの先頭に戻る