東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第47号(平成22年9月8日発行)

リレーTalk

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絵本がつなぐ、地域の中の多文化共生 多言語絵本の読み聞かせ

写真:「RAINBOW」のみなさん

多言語絵本の会「RAINBOW」のみなさん

多言語絵本の会「RAINBOW」では、地域で暮らす外国人女性が語り手となり、様々な言語で書かれた絵本の読み聞かせをおこなっています。日本の子どもたちとの交流を通して、外国人と地域の橋渡し役を目指すRAINBOWの活動について、お話をうかがいました。

 日本で暮らすアジア・アフリカ圏の親は、同じ日本在住の欧米系の親にくらべて、自分の国の言葉を子どもに教えない傾向があります。「どうして?」と聞くと、たいてい「わたしの国の言葉は、日本では必要ない。子どもたちは、日本語さえ話せればいいんです」と答えるのです。

 けれども、日本語だけでなく、日本の文化まで教えている親はとても少ないし、だからといって母国の文化を伝えているわけでもない。すると、子どもは大きくなったときに「自分はいったい、どこの国の人間なんだろう?」と疑問に思ってしまいますよね。そんな不幸なことにならないためにも、家庭を持つ外国籍の女性たちが、次の世代にしっかりと自分の国の言葉や文化を伝えられるよう、母国語で情報発信できるような場を作ってあげたいと感じていました。

 そこでわたしたちは、2006年2月から目黒区の図書館のおはなし会で、区内に住む外国籍の女性たちと、日本語とともにいろんな言語を使って、日本の子どもたちに絵本を読み聞かせる活動を始めました。

 現在は目黒区とタイアップして区内の小学校でも活動しています。読み聞かせはもちろん、その国についてのクイズをしたり、生活習慣の違いなどを読み手の人に語ってもらったりもします。違う国の人と直接触れ合えることは子どもたちにはとても大切なことです。今後は少人数の複数グループで、というスタイルにしていこうと考えています。

 多様な言語や文化に触れることで、子どもたちからどんどん質問が出てくるんですよ! 彼らの素直さや好奇心には驚かされます。「世界には英語以外にもこんなにたくさんの言葉があるんだ」とか「いろんな言葉や文化をもった人が、わたしたちと同じように地域で生活しているんだ」ということを直接、心に感じてほしいと思っています。

写真:活動の様子

外国籍の女性のなかには、日本に来てから日が浅く、日本語に自信がないため、なんとなく引きこもりがちな生活を送っている人もいます。そんな人に語り手として参加してもらえれば、地域に溶け込むきっかけができるんじゃないかと思います。

 きっかけ作りのお手伝いという意味で、わたしたちはこの事業を「となりのおばちゃん的活動」と呼んでいます(笑)。となりに引っ越してきた人にすごく関心があるけれど、遠慮なしにズカズカと入り込むわけにはいかない、でもほっとけない…。だから、ちょうどいいお付き合いができればいいな、という発想です。

 これまでにも、外国人を支援するボランティア活動は全国にたくさんありました。ですが、そこでは日本人が“先生”になって外国籍の方々に日本のことを、「教えてあげるわよ」という感覚になってしまうことが多いようです。ともすれば「いかに上手に教えられるか」ということに関心が向いてしまうこともあると聞きました。

 一方、わたしたちが目指す「となりのおばちゃん」の目的は、外国籍の人々に地域との接点を見つけてもらい、積極的に表へ出て行ってもらうことにあります。地域の中で肩ひじ張らないお付き合いをし、彼らの力を借りて地域を見つめ直すことができれば、もっと世の中は変わっていくでしょう。

 そのためにも、わたしたちは今後もうまく距離感を保ちつつ、上手におせっかいを焼いていくつもりです(笑)

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