東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第43号(平成21年9月9日発行)

リレーTalk

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精神障害を抱える人が元気に生きる社会の“しくみ”作り

にわだいすけさん

地域精神保健福祉機構コンボ 出版事業担当
丹羽大輔(にわだいすけ)さん

精神障害を抱える当事者は治療・ケアされる側として受け身の立場に置かれがちです。そんな中、NPO法人COMHBO(コンボ)では、精神障害に対する偏見がつきまとう現状を打開するために、当事者の視点を中心に据えた活動を続けています。NPO設立の経緯やその活動の一環であるメンタルヘルスマガジン『こころの元気+(プラス)』について、出版事業担当の丹羽さんにお話をうかがいました。

 これまでの精神保健福祉の支援活動は、医師や看護師、精神保健福祉士(PSW)、患者さんやそのご家族の方々など、職能・立場によって分かれていました。しかし、精神保健福祉の“質”を底上げしていくためには、職能や立場にとらわれない横断的な活動も必要だと、私たちは感じていました。そのような背景のもと、限界にとらわれずに思い切った活動ができる組織を目指し、2007(平成19)年にNPO法人COMHBO(コンボ)を設立しました。

 柱に据えたのは「精神障害を持つ人たちが主体的に生きていくことができる社会のしくみを作りたい」。 ここで言う“しくみ”とは、社会制度だけでなく、精神障害に対する一般的なイメージや偏見なども含めた現代社会全体のことです。

 精神障害を持つ人たちは、様々な不安を抱えています。「電車に乗るのが怖い」「他人の視線が気になる」など、第三者にはとるに足らない些細なことでも、当事者にとっては深刻な問題である場合があります。精神障害特有の症状が周囲には理解されにくいため、そのやるせなさから自己肯定感や活力を失いがちです。じつは私自身も、うつ病を患ったことがあるのでわかりますが、特に具合が悪い時には「自分はなんて役に立たない人間なんだろう」というマイナス思考に陥りやすいのです。

 こうした中で、私たちができることは何かを考えた時、“しくみ作り”の一つとして、当事者の視点を中心にした雑誌を作ろうというアイデアが出てきました。それが『こころの元気+(プラス)』という月刊誌です。本誌は執筆者の約7割が精神障害を抱えている当事者であるのが特徴です。メンタルヘルスに関する信頼できる最新の医療情報も掲載していますが、それだけなら他にもたくさんの雑誌があります。しかし同じ病気の人たちがどうやって病気とうまくつきあってきたのかというような体験談は、これまではなかなか読むことができなかったのです。当事者の方からは「他の人の体験記を読んで勇気をもらった」などたくさんの声をいただいていますし、ご家族からも「あらためて病気に対する理解が深まった」という感想が寄せられています。

 「当事者が主役」であるという創刊主旨を最もよく表しているのが表紙写真なのですが、なんと、当事者の方々が毎号のモデルをつとめているんですよ! このことは関係者やメディアも含めてかなりの衝撃だったようで、今も大きな反響が続いています。モデルさんたちの表情から「病気を隠さないで、こんなに明るく、元気に生きていけるんだ」というメッセージがよく伝わるのではないでしょうか。読者から公募しているのですが、私たちもびっくりするほどたくさんの希望者が集まっています。

 かつてのように病院に入院したままではなく、現在は医療の進歩によって地域で普通に暮らせる人がどんどん増えています。病気とつきあいつつ、前向きに生きる。自己肯定感を上げることで、元気になれる――こうして当事者自身の「できること」を増やしていけば、それにともなって社会の“しくみ”は必ず変わっていくはずです。今後も当事者の視点を中心に据えるという基本を大切に活動を続けていこうと思っています。

冊子表紙

メンタルヘルスマガジン
こころの元気+ 7月号

問い合わせ先

NPO法人 地域精神保健福祉機構COMHBO(コンボ)

〒272-0031 千葉県市川市平田3-5-1 トノックスビル2F
電話:047-320-3870
ファックス:047-320-3871
ホームページ:外部サイトへ移動しますhttp://www.comhbo.net/

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