東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第42号(平成21年6月17日発行)

リレーTalk

ここから本文です

“ふたりの食卓”という名の社会貢献活動

こぐれまさひささん

NPO法人 TABLE FOR TWO International 事務局長
小暮真久(こぐれまさひさ)さん

“TABLE FOR TWO =ふたりの食卓”という名前の社会起業が注目をあびています。意訳すると「二人分の食事」。一つのテーブルを囲み、先進国の参加者と開発途上国の子どもが、時空を超えて一緒に食事をするイメージです。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と貧困の問題を同時に解決してしまおうという、革新的な途上国支援活動だといいますが、具体的にはどんな取り組みなのでしょうか?

 わたしたちがおこなっている活動はとてもシンプルです。社員食堂を持つ企業や団体と提携し、一食につき約730kcalに抑えたヘルシーメニューを作っていただきます。そしてその一食分の収益から20円を寄付していただきます。「20円」という金額は、開発途上国の子どもたちの給食一食分。つまりTABLE FOR TWO(以下、TFT)のメニューを一回食べれば、その人は自動的に途上国の子どもたちに一食分の給食を寄付したことになるわけです。

 日本では、カロリーオーバーが原因でたくさんの人が健康を害しています。その一方で、アフリカをはじめとした開発途上国では、貧困による食料問題が深刻です。途上国では食い扶持を確保するため、子どもたちは幼いころから働きに出されます。そのため教育の機会を失い、将来安定した収入が得られる可能性を低めてしまいます。しかし、給食があれば子どもたちが学校に通うことが可能になります。結果として、負の連鎖を断ち切ることができるというわけです。

 こうした背景のもと、2007年の春に活動を開始し、同年10月にNPO法人を設立。これまでに企業や官公庁など、合計127団体に参加していただき、100万食分以上の寄付金をアフリカの途上国へ送りました。これは途上国の子ども達約4,700人が一年間に受けられる給食の量に相当します。

  「先進国の肥満」と「開発途上国の飢餓」という問題に同時に対処し、双方に健康を手にしてもらうというのが、TFTのコンセプトです。これまでは、美味しく食べて、同時に社会貢献もできてしまうというような、楽しみながら気軽に参加できる社会活動はあまりなかったのではないでしょうか。

 わたしはもともとコンサルティング会社に勤めていました。そのとき、とある開発途上国を仕事で訪れる機会がありました。すごいハイテク高層ビルのすぐとなりにスラム街。経済でたくさんお金は廻っているのに、それがすべての人には行き渡っていない…そんな状況を目の当たりにして、なんとかならないものだろうかと思いました。

  一般企業での仕事は楽しかったけれど、一方で「もっと人に喜ばれる仕事をしたい」とも思っていました。そんなときに出会ったのが、この活動です。自分たちの考えた仕組みで社会を良い方向へ変えていくことができるこの仕事に、わたしはとてもやりがいを感じています。

 政治や経済のシステムは完璧ではなく、世界にはさまざまな問題が起こっています。この歪みを正していく政治や経済以外の役割が必要です。いま、これに応えることができるのが「社会起業」だと思います。

 しかし、社会貢献活動を第一とするNPOなどの社会起業には「清貧であるべき」という先入観もあり、また、実際にそうであるために活動そのものが片手間になって、めいっぱい取り組むのが難しい場合もあります。しかし、より真剣に取り組むなら、収益をあげることも考えなくてはならないのではないか。どんなに素晴らしい活動もお金が無くては継続できませんよね。だから、これからの社会起業は、“社会貢献活動をおこなうビジネス”でなくてはいけないとわたしは思っています。

 将来的には食料問題だけでなく、「フォー・ツー」をキーワードに、さまざまなものを地球上のみんなで分かち合い、世界中すべての人が笑顔になれるよう、活動をもっと広げていきたいと思っています。

冊子表紙

小暮真久 著 「20円」で世界をつなぐ仕事

日本能率協会マネジメントセンター

(注)この書籍の購入でも出版社を通じて20円が寄付されます。

個人で参加できるプログラムもあります!
TABLE FOR TWOホームページ
外部サイトへ移動しますhttp://www.tablefor2.org/jp/

このページの先頭に戻る