東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第41号(平成21年3月27日発行)

リレーTalk

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ホームレスが舞台で躍動する“ソケリッサ”のパフォーマンス

写真:あおきゆうきさん

アーティスト/ダンサー ソケリッサ主宰者
アオキ裕キ(あおきゆうき)さん

ホームレスの人たちが舞台で踊る―そんな異色のダンスパフォーマンスが話題を呼んでいます。主宰者は、ダンサー・振付師として多方面で活躍するアオキ裕キ(あおきゆうき)さん。“ソケリッサ”というのは「それ行け!」という言葉をもじった造語だそうです。「おじさんたちと楽しく踊りたい」「ホームレスだからこそできる表現を大事にしたい」と語るアオキさんに、この前代未聞の活動について、お話をうかがいました。

 この活動を始めることになったのは、街中で何度も目にしたある光景がきっかけでした。若者たちがライブパフォーマンスを繰り広げるそのすぐ脇の路上に、ホームレスのおじさんがお尻を出して寝ころがっている…。私には「芸術は、生活に余裕のない人たちにこそ触れる機会が必要なのではないか」と常々の想いもあり、しだいに「このおじさんたちと一緒に踊ってみたい」と、強く思うようになったのです。

  そこで目にとまったホームレスの人たちに声をかけてみたのですが、なかなかこちらの意図が伝わらず、どうしたものかと思案していました。ちょうどその時に、ホームレスの人たち自身が販売員になることで自立支援をめざす雑誌『BIG ISSUE』を知りました。そのネットワークをつてに、販売員の人たちを一人ひとり訪ねて回り、最終的に私の呼びかけに応じてくれたのは4〜5人になりました。

 稽古を重ねるうちに驚いたのは、こちらが想像した以上のものを、おじさんたちが返してくれることです。たとえば私が「《さくらステップ》を体で表現してください」といいます。ほかにも《サイボーグ・ランチ》や《叫び鎖骨》なんていうのもあるんですが(笑)、これは創造力、表現力を高める方法としてやってみました。とにかく日常的な感覚でなら「実在しないものはできない」と、まず戸惑うでしょう。ところがおじさんたちは、それを苦もなく表現するんです。自由で人間らしい面白さや魅力を、ホームレスの人たちがたくさん持っていることを知り、とても感激しました。おじさん達と接していると、自分の世界観だけが唯一の正しい見方ではないのだということを、あらためて思い知らされます。

 公演を無事に終えたとき、おじさんたちは自分たちの舞台が観客から喝采を受けたことで、自身の存在価値や居場所みたいなものを感じ取れたのかもしれません。実際、それまでは私が言ったことだけをやっていたのが、最近はだんだん自分たちの意見を話すようになってきました。たとえば「次は地方へ遠征しよう」とか「ねむの木学園みたいな福祉施設で踊りたいんだよ」とか。なかには「おれは健康のためにやってるだけだ」という人もいますが、それはそれで良いと私は思っています(笑)。

 今後の予定としては、年内に路上パフォーマンス、来年(2010年)のはじめに東京と大阪で舞台公演を計画しています。さらに海外へ渡って、インドの路上で踊るのも企画中です。今なおカースト制度の影響が残る彼の国で、おじさんたちと共にどんな経験ができるか、とても楽しみです。住民票の問題でパスポート取得が困難であることなど、クリアしなくてはならない課題がまだあるのですが…。

 今はまだ稽古場や公演の会場費などを支払うと何も残らない状態ですが、いずれはこれが収入につながり、おじさんたちの自立に少しでも助けになれば、と考えています。

 公演を見てくださる方々には、日々変化し成長している私とおじさんたちの関係性を見てもらえたら、と思います。それからプロのダンサーとは違うものを何か感じてもらえたらうれしいですね。とかく“カタチ”にこだわる世の中に、一石を投じることができれば面白いなと思っています。

公演予定は決まり次第、下記ホームページにて随時お知らせします。

公演写真:手を広げて踊る演者

写真:高松英昭

ソケリッサ実行委員会
スタッフ募集中!
追記(2009年9月)ソケリッサ!のホームページが出来ました。
外部サイトへ移動しますhttp://sokerissa.net/
ビッグイシュー基金
外部サイトへ移動しますhttp://www.bigissue.or.jp
東京事務所
電話:03-6802-6073

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