東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第40号(平成20年11月26日発行)

リレーTalk

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人権とは“あるがまま”を受け入れること

よこたようぞうさん

財団法人 人権教育啓発推進センター 理事長
横田洋三(よこたようぞう)さん

すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。(世界人権宣言 第一条抜粋 外務省訳)―今年は「世界人権宣言」が採択されてから60周年を迎える節目の年です。そこで今回のリレートークでは宣言の基本的な理念を再確認しつつ、また、私たちが普段の生活から、どのように人権というものをとらえるべきなのかということについて、財団法人人権教育啓発推進センターの理事長で、国際法学者の横田洋三さんにお話をうかがいました。

 国際連合の第一の目的は「平和の実現」、第二は「開発の推進」、そして第三が「人権の保障」です。ところが、国連創設に際して合意された国連憲章には、「人権とはなにか?」という規定が詳しく書かれていません。そこで1948(昭和23)年、世界中で適用できる国際的な人権基準として採択されたのが「世界人権宣言」です。そして、現在に至るまでの60年間、だれもが納得できる国際人権規範として、その役割を果たしてきました。

 二十世紀は、人権の光と陰が混在する時代でした。二度にわたる世界大戦や多くの内戦、戦争にともなう民族大虐殺。もちろん人権尊重や平和主義を推し進める国は増えましたが、その一方で「人の権利」よりも「国の権利」を優先する軍事政権はなくなっていません。こうした共通認識のもと、国連でクローズアップされたのが「人権の主流化」という言葉です。これは前世紀の陰を克服するため、すべての活動において人権を中心(主流)に据え、最優先課題として取り組もうという考え方です。

 もともと、戦争や貧困、外国人差別、女性差別などの問題は、人権の精神がないがしろにされた結果、引き起こされるものです。さらに言うと、国連の目的である「平和の実現」や「開発の推進」もまた、「人権の保障」なくしてはあり得ません。したがって、世界はいまなお、人権宣言の精神を実現するために動いていると言っても過言ではないのです。

  よく知られている日本国憲法の人権規定は、詳細な内容を持っていますが、その対象は「日本国内」と「日本人」に限定されています。しかし、人権はもっと普遍的な概念です。例えば企業活動ひとつとっても、グローバル化が進んだ現代社会では、世界との関わりを大切にしなければなりません。そこで必要なのは、どこでも、だれにでも適用される世界人権宣言の普遍的精神なのです。

 私たちの日常に目を転じてみましょう。日本では「人権は法律の専門家に任せておけばよい」という意見をしばしば聞きますが、これは間違いです。なぜなら、人権は専門的な知識の集積によって獲得されるものではなく、日常の人間関係のなかで、ひとに対する思いやりや優しさを体得し、実践するものだからです。たとえ世界人権宣言の条文をすべて暗記していても、その人が「人権を尊重する人」だという保証はどこにもありません。

 逆に、知識を持たない子どもがお年寄りと接する時、いっさい身構えることはありません。どんな人でも、その人の“あるがままの姿”を受け入れる――これが人権です。つまり人権の精神とは、人を好きになり、人を信じ、人を大事にするという、だれもが持っている人間らしい感情そのものに宿っているのです。

 ただ、あるがままを受け入れるといっても、仮に私が「勉強が嫌いな子どもは、嫌いなままでいい」などと言うと、親御さんは怒ってしまうでしょうね(笑)。でも、人権教育は、こうした“常識”を疑うことから始めることが大切だと思っています。

 今年は「世界人権宣言60周年」であると同時に、日本の人権擁護委員制度も、発足から同じく60周年を迎えました。そこで、この二つを記念するイベントを開催し、私がコーディネーターを務めることになりました。みなさんにもぜひご来場いただき、この機会に「人権」というテーマをより身近に感じていただけたら幸いです。

世界人権宣言 人権擁護委員制度60周年記念の集い

横田洋三さんがパネルディスカッションのコーディネーターをつとめます。
(注)参加無料。事前申込が必要です。

日時:2008年12月6日(土)13時00分〜17時00分

場所:丸ビルホール(東京都千代田区丸ノ内2-4-1 丸ビル7階)

お問い合わせ

財団法人 人権教育啓発推進センター 「60周年記念の集い」係

電話:03-5777-1917
ファックス:03-5777-1803

Eメール:event@jinken.or.jp
外部サイトへ移動しますhttp://www.jinken.or.jp

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