東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第38号(平成20年6月18日発行)

リレーTalk

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“家族をひらく”お手伝い 「レンタルお姉さん」の仕事とは?

木川裕子さん

NPO法人ニュースタート 事務局
木川裕子さん

全国でおよそ160万人と推計されている引きこもり。この問題に悩む家庭を訪問し、本人が社会とのかかわりを回復するための支援をおこなう「レンタルお姉さん・お兄さん」という活動があります。ちょっと変わった名称ですが、実際にこの活動にたずさわっている木川裕子(きがわゆうこ)さんに、お話をうかがいました。

 この活動の呼び方ですが、「訪問支援活動」よりも「レンタルお姉さん」の方が親しみがわくし、印象に残りますよね。関心を持ってもらうにはネーミングも重要なんです。

 「引きこもりは、本人が好んでそうしているんだから、放っておけばいい」という意見もあります。しかし、彼らは決してこのままで良いとは思っていないし、かと言って自分だけではどうすることもできずに毎日不安な気持ちで過ごしています。「ただ怠けているだけ」というのは全くの誤解です。考えに考え、煮詰まってしまい動けなくなっているのです。

 私たちの活動はボランティアではなく、費用を負担していただくことになっています。引きこもりの解決には時間がかかりますが、お金がかかっていると意識することで、派遣する側もサポートを受ける側もお互いに良い緊張感を保って取り組むことができるんです。

 最初は引きこもっている本人へ手紙を送ることから始め、やがて自宅で本人と会って話をします。そのうち外へ遊びに連れ出したり、もっと慣れてきたら仕事体験の場を紹介したりします。社会との接点を回復した後には、就学や就職などへ向けた支援がさらに必要なのですが、「レンタル活動」はそこまでつなげるための“パイプ役”です。

 生身の人間を相手にしているので、臨機応変に対応しなければなりません。だから「レンタル活動」にマニュアルは無いし、自分なりにいろいろ試行錯誤しています。

 長時間かけて会いに行ったのにたったの5分で追い返されたり、訪問先で罵声を浴びたりもします。正直なところ、歓迎されない場へ出向くのはしんどいです(笑)。それでも、感情の起伏がなくなっていた人たちが怒りをあらわにするんだから、憎まれ役になるのは決して悪いことではないんです。最初は表情の乏しかった人たちが笑顔を見せてくれるようになったときに、この仕事をしていて本当に良かったなと感じます。

 人生には紆余曲折がつきものなのに、それが認められない。だから、たった一度の失敗で全部を否定してしまう…今の社会にはそうさせるような雰囲気があると思います。もっといろんな選択肢があるはずだし、多様な生き方を認められるようにしていかなければと思っています。

 ご家族は、家庭の問題を他人に知られるのは恥ずかしい。家族だけでなんとか解決しよう、と思いがちです。しかし引きこもりが長期化し、親も子も立ちすくみ、動けなくなってしまうことがあります。そんな場合には第三者が入ることで、膠着していた状態に新しい風を吹き込む。閉じていた家族関係をひらく必要があります。他人の力を借りることは恥ずかしいことではありません。煮詰まった関係に風穴を開け、家族内の風通しを良くしていってほしいと思います。

シンポジウムのご案内(現役レンタルお姉さんが出演します)

日時
2008年6月27日(金)
午後6時30分〜8時30分
会場
千葉市民会館(特別会議室2)
千葉市中央区要町1-1
JR・京成千葉駅より徒歩7分
定員
100名(要予約・先着順)
参加費
2,000円
お問い合わせ・お申し込み
マークNPO法人ニュースタート
〒279-0011 千葉県浦安市美浜1-3-1006 電話:047-307-3676
MAIL:newstart@mua.biglobe.ne.jp
URL:外部サイトへ移動しますhttp://www.new-start-jp.org/

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