東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第36号(平成19年11月28日発行)

リレーTalk

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すべての人に食べ物を “もったいない”が“支援”につながる

和田裕介さん

セカンドハーベスト・ジャパン事務局長
和田裕介さん

「フードバンク」というシステムをご存じでしょうか? 40年前にアメリカで始まった食料支援活動ですが、日本での認知度はまだまだ低いようです。そこで日本で最初に活動を始めた「セカンドハーベスト・ジャパン」の事務局長・和田さんに、その活動と日本の食料品廃棄の現状についてうかがいました。

 「セカンドハーベスト・ジャパン」は平成14(2002)年に特定非営利活動法人として活動を開始しました。児童養護施設や自立援助ホーム、女性シェルター、外国人労働者・難民支援施設、アルコールや麻薬の依存症患者のリハビリ施設、グループホーム、授産施設など、これまでの食料配給先は100カ所以上にのぼります。

 「フードバンク」とは名前のとおり“食べ物の銀行”という意味で、様々な理由で売れなくなってしまった安全な食品を受け入れ、食事に困っている人々へ配るという社会の仕組みです。アメリカでは多くの食品企業が参加しているとてもメジャーな活動なのですが、日本での認知度はまだまだ低いのが現状です。

 そのため、賞味期限切れの食品を調達している団体と勘違いされてしまうこともあります。実際にそういう食品を引き取ってほしいという依頼が来ることがありますが、それはお断りしています。また、分配するまでの間に期限が切れてしまうようなものも受け入れていません。食品の安全性は提供企業の保証を得ています。

 例えば、売れ残ったコンビニ弁当を回収している都内のある産廃業者では、1日に7トン=2万5千食分を飼料や肥料として処理しています。日本では安全に食べることができる食品のうち3分の1が廃棄されているのです。その一方で全国では65万人が日々の食事に困っていると私たちは試算しています。驚かれるかもしれませんが、日本での餓死は決して少なくありません。捨てるほど食べ物が余っているのに、どうして餓死しなければならないのでしょうか?

 廃棄される食品の典型的な例は、賞味期限が残り少なくなったものです。例えば、賞味期限が最初の3分の1の期間を過ぎてしまうと、流通先の小売店には受け入れてもらえないという現実があります。極端な例ですが、賞味期限が1年だとすると最初の3分の1の期間つまり4カ月を過ぎても期限までにはまだ8カ月もある。なのに「もう売れないから」と、廃棄されてしまうことがあるのです。このほかに賞味期限の印字が少し薄いもの、流通途中に輸送用のダンボール箱がほんの少し潰れてしまったものなどもあります。こうした食品は、中身に問題があるわけではありません。捨ててしまうのはあまりにもったいない…そこで、市場性のなくなった食品を寄付という形で私たちが受け入れ、食事に困っている人々へ無償で提供しているというわけです。

 一方は食料廃棄に莫大な費用がかかり、もう一方では食料が足りず、お互いに困っている。ならばフードバンク活動は“慈善”ではなく“協力”であると言えます。これらの活動が定着している国では、NPOと企業だけでなく、政府との連携も見られます。

 私たちのゴールは、「フードバンク」を日本で成長させ、必要とする人が誰でも食品を得られるようにすることです。そのために、今後は行政とも協力しあえる関係を構築していきたいと思っています。

セカンドハーベスト・ジャパン

電話:03-3838-3827

ファックス:03-3863-4760

ホームページ:外部サイトへ移動しますhttp://www.secondharvestjapan.org

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