東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第28号(平成17年12月1日発行)

リレーTalk

ここから本文です

見えない障害 内部障害・内臓疾患を示すハート・プラスマーク

写真:根本さん

ここでは、さまざまな分野の方々に人権についてのお考えを伺います。

「ハート・プラスの会」事務局
根本昌子さん

「ハート・プラス」マークをご存知ですか? このマークは「内部障害者」を表すマークとして、当事者の方たちによってデザインされたものです。今回のリレートークでは、「内部障害者・内臓疾患者の暮らしについて考えるハート・プラスの会」事務局の根本昌子さんをお迎えして、内部障害者が置かれている現状と、マークを普及させるための活動などについて語っていただきました。

 内部障害というのは身体障害者福祉法でいうところの、心臓、腎臓、肺、膀胱・直腸、小腸、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害の、6つの障害の総称です。

 内部障害者は、障害者手帳の交付を受けている人だけでも、全国で100万人以上存在します。また、内臓疾患には、いわゆる難病指定を受けられる疾患と、受けられない疾患があります。一見健康な人と変わらないように見えても、内臓は直接生命にかかわる大切な臓器ですから、常に深刻な状況にある人も少なくありません。

 ところが、社会的に私たちの存在がどの程度知られているかというと、悲観的にならざるを得ません。

 例えば、電車に乗っているときに優先席に腰を掛けていると、健康なのに優先席に座っていると誤解されて、注意されてしまったり、結局立たざるを得なかったりすることがあります。それから、車いすマークの駐車場に車を止めて、注意を受けるといったこともあります。また、労働環境ひとつとっても、「可視的」な障害者に比べて企業側の認識も低く、勤務時間、勤務内容などの面で、適正な就業形態がとられていないといった事例も数多くあります。

 こうした経験から、以前より、内部障害について、より広く知ってもらうために何らかの取り組みを行う必要性があると考えていました。

「ハート・プラス」マークの図柄

「ハート・プラス」マーク
(注)ホームページからダウンロードできます。

「内部障害者・内臓疾患者の暮らしについて考えるハート・プラスの会」ホームページ
外部サイトへ移動しますhttp://www.normanet.ne.jp/~h-plus/

 「ハート・プラス」マークは、内部障害者の存在を視覚的に示し、理解を促すための第一歩となるものと考えています。人型に身体の内部を表すハートをはめ込み、そこに思いやりの心をプラスしてほしいという願いを込めました。この図柄を考案したのが平成15年の10月、その後、会で運営するインターネットホームページにマークを掲載し、ダウンロードして配布してもらうことや、障害者団体や行政機関に普及のための協力を依頼するといった活動を続けてきました。

 ただ、私たちの活動は、行動面での制約が多いため、どうしてもインターネットを中心に行わざるを得ません。つまり、当事者による活動にはおのずと限界があり、行政の支援や、健常者による活動のサポートが必要な段階に来ています。

 まず何よりも必要なのは「周囲の理解」という環境整備です。公共交通機関の優先席に「ハート・プラス」マークを追加掲示してもらうだけでも、社会的な浸透度はずいぶん違ってくると思います。理解が進めば、現在内部障害者が置かれている状況は少しずつ変わってくるでしょう。

 社会的に見れば、バリアフリーの取り組みも定着しつつあると言えるのかも知れません。しかし、現状では、私たち内部障害者は、その流れから取り残されたままです。たとえ、医学的には改善が見込めないような疾患であったとしても、日常的な支障が軽減されれば、生活は大きく変わっていくはずです。そのための理解と支援を私たちは求めています。「ハート・プラス」マークがそのためのきっかけとして役立ってくれることを願いながら、今後も活動を続けていくつもりです。

このページの先頭に戻る