東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第26号(平成17年6月1日発行)

リレーTalk

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多摩南部成年後見センターの活動

顔写真

多摩南部成年後見センター所長
竹市啓二さん

「成年後見制度」をご存じでしょうか?高齢者や障害者の権利を守るため、本人に代わって後見人等が財産管理や契約を代理するこの制度は、同時に創設された介護保険と比べると、知名度や普及率はまだまだ十分ではありません。そこで今回のリレートークでは調布市に拠点を置く「多摩南部成年後見センター」所長の竹市啓二さんを迎え、制度改革の内容や改革の背景となった社会的状況、センターの活動内容と今後の課題などについてうかがいました。

成年後見制度の状況

 介護保険や支援費制度など、現在の福祉サービスは、「契約」に基づいて利用するしくみになっていますので、利用者が自分が受けたいサービスの内容について、的確に判断できるということが制度の前提になっています。しかし、例えば認知症であったり、知的障害があるなど、自ら判断する能力が十分に備わっていない人も多く、何らかのサポートを受けなければ、自分自身の法的権利や利益を確保することができません。また近年、一人暮らしのお年寄りが増え、訪問販売などによって著しく不利な契約を結ばされるといった事件もおこっています。

 こうした市民の権利や利益を擁護することが成年後見制度の主たる目的であり、当人に代わってさまざまな判断を下すことが、後見人等に求められている役割なのです。つまり、従来、家族などによって守られていた権利や利益を、新しい制度に基いて擁護するものとも言えるでしょう。

 かつて、禁治産といわれた、法的保護措置は、その言葉自体の響きやイメージが、制度利用を敬遠させる大きな理由になっていました。そこで、こうした面も含めて、制度の見直しが求められ、2000年4月、介護保険の導入と同時に、新たに成年後見制度が実施されるに至ったわけです。

 大きく変わった点は、福祉の向上を図るため必要な場合に、市町村長が申し立てをすることができるようになったことや、家庭裁判所の職権で後見人等を選任できるようになったことなどに加え、軽度の後見ともいえる「補助」の類型を設けたり、将来に備えた任意後見制度を設けて、これまでよりも対象を広げたことなどがあげられます。さらに、複数の後見人等を置いたり、法人が後見を行えるようにもなりました。

 また、禁治産のように戸籍に記載されることもなくなっています。

 一方、制度利用にともなう費用負担は高齢者等にとって決して軽いものではなく、成年後見制度を利用するための、一つの壁になっていました。そこで、一定の場合に、費用負担を軽減して、セーフティネットとしての役割を果たしていこうという考えが出てきたわけです。私ども多摩南部成年後見センターの存立理由は、およそこの点に集約されると思います。

センターの活動

 現在センターを運営しているのは、調布・日野・狛江・多摩・稲城の5市。人口は、全て合わせると約67万人。対象となる人口が少なすぎると、事業そのものの基盤が形成できませんから、単独で取り組むよりも効果的です。設立に先行して、3年間の調査研究期間を設け、2003年7月に中間法人として発足。同年10月に事業を開始するに至りました。

 現在のおもな事業内容は、後見事務の提供(財産管理、福祉サービス利用契約の締結など)、福祉サービス利用援助(年金や福祉手当等の受領、公共料金・医療費等の支払など)、定期訪問などの見守りサービスなどとなっています。利用者は、今年4月15日現在で合計22人です。

 成年後見制度に対しては、「制度自体の認知度が低い」「利用方法がわからない」「後見人等の担い手がいない」といった声があがっています。ですから、今後の大きな課題としては、まず利用の促進を図ること。センターが後見人になることのメリットには、費用負担の軽減以外にも、法人組織として継続的に後見を続けられることや、法律と福祉分野の双方の専門家から助言を得られることなどがあります。また、この先の制度の担い手を考えた場合、安定したサービスを提供するためには「市民を後見人として育成する」という観点も将来は必要になるとみられています。

多摩南部成年後見センター
外部サイトへ移動しますhttp://www.kouken-center.or.jp/

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