東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第21号(平成16年4月1日発行)

リレーTalk

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HIVに対する誤った認識がいわれなき偏見や差別を生む

顔写真:飯田さん

東京都健康局医療サービス部エイズ対策担当副参事
飯田真美さん

HIV感染報告数の約4割は東京都内で報告されている――この事実を、私たちはどう受け止めればよいのでしょうか? HIV感染は、決して遠い国の出来事などではありません。特別な人だけが感染する特別な病気でもありません。現在は報道される機会が少なくなってしまったものの、じつは非常に身近で、かつ深刻な問題なのです。そこで今回は東京都健康局の飯田真美さんに、HIV感染の現状とともに、HIVやエイズに対する偏見・差別がもたらす人権侵害、そして今後の対策などについてうかがいました。

HIVに対する誤った認識がいわれなき偏見や差別を生む

 現在、日本全国では毎年900人前後の新たなHIV感染者が報告されています。なかでも東京都は年間約360人、全国の感染者数のじつに約4割を占めています。東京都の人口比率は全国民の約1割ですから、非常に高い数字であることがわかります。

 具体的な数字を挙げると、平成13年が過去最高の376人。平成14年は368人。そして昨年、平成15年は359人です。このように、ほぼ1日1人のペースで感染の報告が出されているわけですから、これは決して他人事ではなく、私たち一人ひとりが日常的に考えるべき問題と言えます。

 HIVの感染経路は、性的接触や母子感染、注射器の回し打ちで、性的接触は、同性間による報告は多いですが、男女間の性的接触でも感染します。とくに最近は、異性間接触で、男性のエイズ患者が増えている傾向にあります。ある日突然「あなたはHIVに感染しています」と宣告される――そんな例も、実際に報告されているのです。

 ここではっきりしておかなければいけませんが、エイズは予防できる病気です。感染を予防する最善の方法は、性的接触をもたないことですが、性的接触をもつときでも、コンドームを正しく着用すれば予防できます。しっかりした知識を持って予防することができれば、感染しません。

 HIV感染あるいはエイズという病気に対する偏見は、まだまだ根強いものがあると実感しています。HIVに対する誤った認識は、そのまま感染者の人権侵害を生んでしまいます。以前、入社前のHIV検査を義務付けようとした企業が問題になったことがありました。これに対して、東京都では「採用時の検査は必要ありません」という啓発活動を行っています。

 また医療機関に診療を拒否される、福祉施設の入所を拒否される、あるところでは、「洗濯物を別にするように」と言われたそうです。 エイズに対する偏見や差別を取り除き、同時に感染拡大を防止するためにも、東京都では普及啓発活動に力を入れています。たとえば毎年11月16日から12月15日の「エイズ予防月間」には、都内全域の学校にポスターを掲示するほか、各種の講演会やイベントなどを開催しています。

 また、若い人たちを対象に、同世代の若者が、エイズへの理解や予防の大切さを伝える「エイズ・ピア・エデュケーション」を実施しています。

 HIV検査機関の充実も大切な事業のひとつです。区の保健所や多摩立川・多摩小平・八王子の各保健所で、検査を実施しています。また、昨年4月から「東京都南新宿検査・相談室」では、平日の夜間(20時まで)だけでなく、土曜・日曜も検査が受けられるようになり、それ以降は検査件数が増えました。

 いずれにしても、HIV感染はしっかりした知識と予防行動さえあれば防げます。それに、注射器の回し打ちや、無防備な性的接触をともなわない日常生活では絶対に感染しません。不当な差別をなくすためにも、皆さんに正しい知識を知っていただくように私たちは今後も普及啓発に努めていきます。

HIV:HumanImmunodeficiency Virus
ヒト免疫不全ウィルス。エイズウィルスは一般用語。HIVに感染しても症状がない時期が長くこの期間を無症候性キャリアという。未治療の場合、数年から10数年症状が現れないといわれている。
AIDS:AcquiredImmuno Deficiency Syndrome
HIVの感染によって、免疫力が低下し起こるカリニ肺炎や口腔カンジタ症等の病気をAIDSと呼ぶ。

東京都エイズ電話相談 電話:03-3292-9090
月〜金:9時00分〜21時00分 土・日、祝日:14時00分〜17時00分

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