東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第18号(平成15年6月1日発行)

特集

ここから本文です

雇用における男女の機会均等が個性を生かし働きやすい職場をつくる

東京都では、毎年6月を「男女雇用平等推進月間」及び「就職差別解消促進月間」と定めています。真の男女共同参画社会を実現するために、また多様な個性を発揮できる社会を目指すためには、意欲と能力のあるすべての人々が活躍できるような職場づくりが欠かせません。そこで今回は、厚生労働省東京労働局雇用均等室の室長補佐・小山内恵子さんに、雇用にかかわる現状と雇用均等室の役割についておうかがいしました。

顔写真:小山内さん

厚生労働省
東京労働局雇用均等室 室長補佐
小山内恵子さん

雇用均等行政を推進するための課題と対策

 現在、急速な少子・高齢化が進展するなかで働く女性が性により差別されることなく、また、男女労働者が仕事と家庭の両立を図るための大きな課題として、3つのテーマが挙げられます。ひとつめは雇用における男女の機会均等と待遇確保。ふたつめは職業生活と家庭生活の両立支援。そして最後が、パートタイム労働者の雇用管理改善です。これらの問題については、それぞれ「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」「パートタイム労働法」の履行及び実効が確保されることが必要となっています。それではまず、雇用における男女の機会均等について説明していきましょう。

 雇用均等室では「男女雇用機会均等法」に基づいて、男女雇用における差別的取扱いに関する相談に対応するとともに、妊娠・出産を理由とする解雇等の差別的取扱いに関する紛争の解決を図るための援助(助言、指導、調停の活用等)を行っています。さらに法律に対する社会一般の理解を深めるため、毎年6月を「男女雇用機会均等月間」と定めて啓発活動を実施しています。

 また、一連の就職活動における女子学生の就職に関する差別的取扱いも大きな問題となっています。たとえば「今まで女性の営業職を採用した例がない」という理由で事務職を勧められた。あるいは面接の時、女性受験者のみ恋人の有無を尋ねられた。あとは、男性には会社案内送付時にエントリーシートが同封されてきたが、女性は直接会社へ取りに行かなければならないということも法律に違反します。こうした企業に対しては適切な指導を行うとともに、女子学生からの相談にも応じています。また、就職ガイドブックを女子学生に配布する等の意識啓発活動を実施し、幅広い職業選択が行えるように努めています。

女性の能力発揮のためのポジティブ・アクション

 単に女性だからという理由だけで不当な扱いを受けてしまっている例は、残念ながら現実に数多く見られます。そこで雇用均等室では、男女間に生じている実質的な格差を企業が積極的に解消する取組(ポジティブ・アクション)を促しています。実際の取組目標としては「女性の採用拡大」「女性の職域拡大」「女性管理職の増加」「職場環境・風土の改善」などがありますが、厚生労働省ではポジティブ・アクションを積極的に推進している企業に対して表彰を行っています。平成14年度に厚生労働大臣努力賞を受賞しました食品製造業の株式会社ニチレイ(東京都千代田区)の取組の一端を、ここで簡単に紹介しておきましょう。

 ニチレイは平成12年4月に「フレッシュ・アンド・フェア・プログラム」を導入し、管理職(課長職以上)に占める女性の比率を平成15年までに5%にするという目標を立てました。そして実際に、女性管理職の登用に関する優遇制度や「ポジティブ・アクション・キャリア研修」という女性を対象にした能力開発支援を設けるなど、女性支援の職場づくりを目指して様々なプログラムが実践されました。結果的にこれらの取組が功を奏し、平成13年度には管理職の女性比率が2.6%に増加しました(平成12年度は1.2%)。また、平成14年度採用者の女性比率も30.3%に上がりました(平成12年度は13.3%)。

現法律と雇用均等室の存在を知っていただくことが大切

 職業生活と家庭生活の両立については少子化や高齢化が急速に進む現在、非常に重要な問題となっています。たとえば、もし労働者が安心して育児休業が取得できない場合は、今後どんなことが考えられるでしょうか?答えの一つとして挙げられるのは、益々少子化が進み、将来の社会経済に大きなダメージを与えてしまうことです。そこで「育児・介護休業法」では、労働者の育児・介護休業、勤務時間短縮等の措置、深夜業の制限などを保障しています。また、事業主に対して育児・介護休業を理由とした不利益取扱いを禁じています。

 東京労働局では、様々な制度によって仕事と家庭の両立がしやすく、労働者自身が柔軟な働き方を選択できる「ファミリー・フレンドリー企業」に対して表彰を行っています。平成14年度は、株式会社イトーヨーカ堂と株式会社エトワール海渡が、それぞれ東京労働局長賞を受賞しました。イトーヨーカ堂は「リ・チャレンジプラン」という制度により、妊娠期間中から育児期までをフォローしています。また、エトワール海渡では法律制定以前から企業内託児施設が設置され、短時間勤務制度や育児休暇制度を設けていることが評価されました。これらの企業は、すでに育児・介護休業が風土として根付いていると言えるでしょう。

 最後に、パートタイム労働者の雇用管理改善の問題に触れておきます。雇用・就業形態の多様化に伴い、パートタイム労働者の雇用管理の改善については益々重要なものとなっています。そこで「パートタイム労働法」では、通常の労働者との均衡等を考慮した適正な労働条件の確保や教育訓練の実施、さらに福利厚生施設の充実など、雇用管理の改善を図るために必要な措置を定めています。また、これらの取組を積極的に行う事業主に対して、国からは助成金を支給しています。

働く人の写真

 いずれにしても、多様な個性と能力を発揮できるような職場をつくるためには、雇用の均等が欠かせません。そのために、まずは各法律と、それから相談窓口としての雇用均等室の存在を皆さんに知っていただくことが重要です。雇用均等室では、これからもセミナー等の広報啓発活動などを積極的に展開し、また、法律違反の企業に対しては行政指導を実施し、雇用における男女平等、仕事と家庭の両立支援に向けた取組を進めていきたいと考えております。

雇用均等室に寄せられた相談事例より

事例1 企業の採用面接で「総合職は男性しかとらない」と言われた。

 会社説明会や面接等の採用選考の段階において、女性であることを理由として差別的取扱いをすれば、男女雇用機会均等法違反となります。また、次のような場合も同様に、男女雇用機会均等法に違反します。

男女雇用機会均等法に違反する事例

事例2 会社にセクシュアルハラスメントの相談をしたが、何も対応してもらえなかった。

 上司の度重なる性的な冗談を苦痛に感じていた女性労働者が、人事部に上司のセクハラについて相談。ところが、まともに取り合ってもらえなかったため、雇用均等室に相談がありました。

 雇用均等室が会社へ指導した結果、会社は調査を行い、事実を認めた上司を厳重注意。女性労働者に謝罪させるとともに、就業規則にセクハラ防止の方針を記載することになりました。また、社員への周知啓発を行い、相談窓口を設置しました。

事例3 育児休暇をとらせてもらえなかった。

 男性労働者が「妻が出産したため、子どもが1歳になるまで育児休暇を」と会社に申し出たところ、これまで男性が育児休暇を申し出たことがないことを理由に認めてもらえませんでした。

 雇用均等室が会社を指導した結果、育児休業を取得できることになったとともに、法律上はもともと男性も育児休業が取得できることを社内に周知徹底しました。

事例4 育児休業からの復職後、「夜勤をしないなら退職するように」と言われた。

 育児休業から復職するにあたり、深夜に子どもの面倒を見る家族がいなくなってしまうため、今まで三交代制であった勤務のうち夜勤シフトから外してもらうように伝えたところ、会社から「夜勤をしないなら退職するように」と言われました。

 雇用均等室が会社を指導した結果、育児のための深夜業の制限制度が設けられたため、夜勤をしないでも勤務を続けられるようになりました。

注:職場における男女の均等取扱い、セクシュアルハラスメント、育児・介護休業等に関するご相談・お問い合わせは
東京労働局雇用均等室
〒112-8581 東京都文京区後楽2丁目5番1号住友不動産飯田橋ファーストビル2F
電話:03-3818-8408 ファックス:03-5689-5076

このページの先頭に戻る