東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第12号(平成13年11月16日発行)

リレーTalk

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今こそ知ってほしい「養育家庭制度」

飯塚美紀子さん

東京都福祉局 子ども家庭部育成課長
飯塚美紀子さん

ここでは、さまざまな分野の方々に人権についてのお考えを伺います。

今回は現在、東京都が制度の充実をめざしている「養育家庭制度」について、東京都福祉局子ども家庭部育成課長の飯塚美紀子さんにお話を伺いました。

 今、親がいるにもかかわらず、家庭で生活できない子どもが増えています。家庭で生活できない理由で一番多いのは虐待ですが、家族関係が複雑な場合も多く、その理由も非常に多様化しているのが現状です。

 そうした子どもたちに必要なのは、大人との濃密な関係の回復です。全面的に愛されている、何かあれば助けてくれる人がいると実感できる体験は、子どもの自立や成長のためにとても大切です。養護施設などの集団生活では限界があるのです。そこで、東京都が今、特に力を入れているのが、ある一定期間、ご家庭で子どもを預かっていただく「養育家庭制度」です。アメリカ、カナダ、イギリスなど欧米の国々では、「フォスターペアレント」などの名称で養護施設よりも主流になっています。東京都では昭和48年から先駆的に導入して、30年近く続けてきた制度です。

 平成12年度は子どもを預かってくださる養育家庭として、294家庭が登録しており、154の養育家庭で211人の子どもが暮らしています。対象は0歳〜18歳までの子どもで、期間は原則として1カ月から2年間となっており、更新も可能です。

 養育家庭となっているのは、子育てが一段落して、時間にゆとりができた方たちなどで、決して特別な方たちではありません。私たちは養育家庭の希望を聞いたうえで、その家庭に合ったお子さんをお願いしますし、交流期間を経てお願いしております。都では子どもを預かってくださる養育家庭に毎月、金銭的な援助をしているほか、心理的なサポートや定期的な訪問などを行ない、全面的にフォローしています。

 例え一定期間であっても、小さいうちに家庭で安定した生活を送ることは、子どもにとって大事なことです。ある子どもはひどい虐待を受けていて、発育が遅れ、6歳なのに喃語(なんご)しかしゃべれなかったのですが、養育家庭で3カ月過ごしたことで見違えるほど変化しました。もちろん、すべてのケースがうまくいくというわけではありません。さまざまな葛藤もあります。でも、それを乗り越えて「やってよかった」と言ってくださるご家庭が多いということを知っていただきたいと思います。

 昨年、児童虐待防止法が施行されてから、通報などによって虐待されている子どもを発見し、保護できるようになりました。でも、通報をすれば終わりというわけではありません。親と引き離した子どもたちの今後のことまでを考えていく必要があります。

注:「養育家庭制度」相談専用の電話は、5320-4117です。

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