東京都人権啓発センター

TOKYO人権 第10号(平成13年6月29日発行)

特集

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「企業における人権問題の取り組み」 -永山勝治さん-

6月は就職差別解消促進月間です。今回は東京に本社を置く企業が中心となり、企業の人権啓発活動に取り組んでいる東京人権啓発企業連絡会理事長 永山勝治さんに、お話を伺いました。

写真:ながやまさん

東京都人権啓発企業連絡会理事長
永山 勝治さん

日本電気株式会社(NEC)所属。1995年4月 東京人権啓発企業連絡会事務長を務め、その後常務理事、専務理事を歴任し、1999年4月 理事長に就任。

東京人権啓発企業連絡会の役割

  東京人権啓発企業連絡会は、1979年、東京に本社を持つ企業35社が中心となって、「東京同和問題企業連絡会」として発足しました。

 背景には、1975年、企業が差別図書「部落地名総鑑」を購入し、就職の際「同和地区」の応募者を排除していたという事件があります。これは採用時の差別につながるものであり、あってはならないものです。二度とこのような就職差別を起こさないという思いからこの連絡会は発足されました。

 当初は企業における同和問題に焦点をあてて活動していたのですが、その後、女性差別、障害者や高齢者の雇用などが世の中で問題となっていく中、あらゆる差別をなくすという観点から1990年に現在の「東京人権啓発企業連絡会」に名称変更されました。

現在、会員となっている企業は125社。実際に差別事象などを経験して、その反省から会員となった企業もあります。
連絡会では会員となっている125社を12のグループに分けて、各グループ内で企業内の研修に使用する教材づくりなどを行っています。また、毎年、自分たちの研鑽の結果を発表する場を設けています。発足以来、特に力を入れているのが研修・啓発活動です。これは、いわゆる受け身の研修ではなく、会員企業自らがビデオづくりなどを行い、積極的に社内啓発を進めるというものです。さらに、「採用責任者講座」などの研修を積極的に開催することで、採用における差別は一切許されないという意識を徹底させています。

 この他、「明日へ」という広報誌では、国内や海外における人権問題に興味をもってもらうために、さまざまな分野でご活躍の方々にエッセイを執筆いただいております。また、ホームページ「ひろげよう人権」は、1996年11月にスタートし、人権に関する基礎知識、トピックス、また会員企業メンバーが日ごろ感じた人権に関するエピソードなどを紹介しています。現在ではヒット数が毎月63万件を数え、会員企業以外の多くの方に幅広く読んでいただいていると実感しています。

相手の人格を認識しながら採用面接を

 今、人権の風が吹いているということを肌で感じられる時代になり、企業における人権問題もかなり改善されてきたと思います。ジェンダーやセクシュアルハラスメントなどの問題に対しては、法整備がなされ、企業内には相談窓口がつくられるなどの啓発活動も進んでいます。しかしながら、一方では、インターネットにおける差別落書きなどの新しい人権問題も生まれており、ユーザーに対する規約づくりや、プロバイダーの担当者に対する啓発活動を徹底する必要があります。

 これまでの就職差別問題にみられる採用担当者の多くは、無意識に応募者に対して、「採用してあげる」という気持ちがあったと思います。「当社に面接にきていただいた」という謙虚な気持ちで相手の人格を認識・尊重しながら採用面接を行うことが重要と考えます。

 東京には現在、従業員数100名以上の事業所が1万2000社以上あるといわれております。当連絡会の会員となっているのはその1%に過ぎず微力とは思いますが、今後も国、東京都をはじめとする地方自治体、そして私たちの企業が三位一体となって、人権問題への取り組みを進めていきたいと考えております。マンモス都市東京が他に与える影響は非常に大きいはずです。東京に本社を置く企業が中心になっている私たち連絡会の役割の大きさも痛感しています。

 企業の役割とは利益を追求することだけではありません。例えば、ボランティア休暇などの充実によって、国内や海外でのボランティア事業に参加する人が増えています。このように『社会に貢献する』ということも、企業が果たすべき役割の一つでしょう。企業の持つ力を、もっと人にやさしい形で使っていくべきではないでしょうか。

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