TOKYO人権 第58号(平成25年5月31日発行)

一石何鳥? ビジネスで地域みんなを元気にする
100歳まで働けるものづくりの職場「BABAラボ」

「ソーシャルビジネス」が社会全体の課題解決を目指すのに対し、「コミュニティビジネス」は地域の課題をその地域の人たちが、地域に根差した方法で解決しようとする取り組みです。いくつもの課題に同時に取り組む「孫育てグッズ」制作工房「BABA ラボ」を取材しました。

写真:BABAラボの様子
「抱っこふとん」で
おばあちゃんも抱っこが楽に

 「100歳まで働けるものづくりの職場」をスローガンに、ものづくりによるコミュニティビジネスに取り組んでいる「BABAラボ」。代表を務めるのは、3歳のお子さんを子連れ出勤で育てている桑原静(くわはらしずか)さんです。2011年にBABAラボと、その運営母体であるシゴトラボ合同会社を立ち上げました。

 BABAラボでは主におじいちゃん、おばあちゃんのための孫育てグッズを開発し、制作・販売しています。桑原さんが母や祖母に育児の手伝いを頼んだとき、彼女らが市販の育児用品をとても使いにくそうにしていたことが、製品の発想の源になっているとか。そうした製品の一つに、スタッフが一点一点丁寧に手縫いしている「抱っこふとん」があります。肌触りも柔らかくて、抱っこする人が変わっても赤ちゃんが起きてしまわない。筋力が弱くなったお年寄りでも赤ちゃんを抱きやすいなどと評判です。

写真:BABAラボの様子おそろいのTシャツでもっと仲良く

 ラボには0歳から84歳までの地域の人たち50人がスタッフとして所属しています。スタッフの年齢層が幅広い点を生かすため、商品開発はあえて10歳以上年の離れた2人でペアを組むという約束事を設けています。世代が違えば考え方も異なるため、その方が新しい発見があり、より良いアイデアが生まれるのだそうです。0歳の子どもが“スタッフ”だと聞いて変に思うかもしれませんが、それは、商品写真のモデルを務めるなど、子どもたちにしかできない仕事があるから。これは子どもにも役割があることで、お母さんたちが気兼ねなく子連れ出勤できるようにと考えた結果です。現在、スタッフの約半数が30代の子育て中のお母さんたちです。

写真:桑原 静さん桑原 静さん

 桑原さんは次のように話します。「私自身、出産・育児というきっかけで仕事を辞めてしまう自分の姿を想像できなかった。出産・育児があっても女性のキャリアが継続できるような環境を作りたいなぁと。それに、年をとっても元気なら仕事を続けられるようにしたかった。それで、最初はおばあちゃん世代をスタッフの中心にと考えていましたが、意外にも子育て中のお母さんが多く集まったんですよ」。

 一方、BABAラボを運営するシゴトラボ合同会社はコミュニティビジネスを始めようとしている人たちの思いを共有し企画立案から会社の立ち上げまでをサポートするための会社。BABAラボはいわば実験場です。「実際の現場をとおしてこそコミュニティビジネスの課題が見えてくるはず」との考えもあって運営しているのだと桑原さんはいいます。さらに、「運営のノウハウを蓄積し、それぞれの地域でコミュニティビジネスを展開したいと考える人たちに提供できるのがこの仕事のやりがいですね」とも話してくれました。現場で問題があればあるほど、そしてそれを克服できればなおさら、BABAラボだけでなく、他の誰かの喜びにもつながるというわけです。

写真:BABAラボの様子BABAラボで開かれる
手芸のワークショップも好評

 元気なお年寄りの生きがい作り、子育て中のお母さんの職場作り、コミュニティの再生・地域振興などなど、さまざまな課題に同時に取り組むことで、独創的な活動をしているのがとても興味深いところです。こうしたみんなを元気にする素敵な取り組みがもっと広がっていくといいですね。

インタビュー/鎌田 晋明(東京都人権啓発センター 専門員)
編集/小松 亜子

ロゴ:BABAラボ

BABAラボ/シゴトラボ合同会社
埼玉県さいたま市南区鹿手袋7-3-19
TEL:048-799-3214

http://baba-lab.net/
http://www.jibun-lab.com/

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