TOKYO人権 第51号(平成23年9月30日発行)

「見た目問題」って、なに?

「見た目問題」とは、生まれつきのアザや形成不全、あるいは事故によるやけどや傷のあとなど、「見た目」に症状のある人たちが、社会で直面する「問題」を意味しています。

 「見た目問題」という言葉から、いわゆる容姿の美醜や、ファッションに関することを想像した人も多いことでしょう。しかし、ここでいう「見た目問題」とは、生まれつきアザがあったり、事故によるやけどや傷のあとがあるなど、顔を中心とした「見た目」に症状のある人たちが、社会で直面するさまざまな「問題」を指しています。

 日本における「見た目問題」の当事者は約80 万〜100 万人と考えられています。彼らの多くが学校でいじめられたり、就職や結婚で差別されるなど、生きていく上でのさまざまな困難に日々直面しています。症状が容貌だけに限られ、機能的な障がいが無いということや、治療の緊急性がないことを理由に、行政による福祉サービスの対象とならないケースが多く、また相談窓口なども特に無いため、社会から孤立してしまったり、なかには自ら命を絶ってしまう人も…。「たかが見た目のことで、そこまで悩むなんて」という声もしばしば聞かれます。しかし「もし自分の顔に大きなアザがあったら?」、「もし自分の子どもの顔に目立つヤケドのあとが残ってしまったら?」と、他人ごとではなく「自分ごと」に置き換えてみると、当事者が感じていることの深刻さを理解しやすいかもしれません。

写真:外川浩子さん
外川浩子(とがわひろこ)さん

 NPO法人マイフェイス・マイスタイル(以下、MFMS)では、こうした「見た目問題」をめぐる社会環境の改善を目指し、多くのことに取り組んでいます。当事者同士や当事者団体同士をつないで、悩みや情報の共有に協力する一方で、見た目に症状のある人たちの生の声を、より多くの人に届けるための活動も展開しています。2010 年の春に創刊した季刊誌『マイ・フェイス』も、その活動のひとつといえるでしょう。表紙を飾ったり、誌面でインタビューを受けるのは当事者の人たちです。それぞれの症状は、皮膚や体毛が白いことが特徴のアルビノや、頭髪や眉毛など体中の毛が抜けてしまう重度の円形脱毛症、単純性血管腫と呼ばれる赤いアザなどさまざまですが、『マイ・フェイス』に登場する彼らに共通していることは、みな生き生きとしていて、とても「いい顔」をしていることです。これは、一言では説明しきれないほどの苦悩を乗り越え、それぞれが大きな努力を重ね、理解しあえる誰かと出会えた結果の表情なのです。

冊子表紙
『マイ・フェイス』
2011年夏号(Vol.006)(注)

 MFMSの代表をつとめ、多くの当事者と関わりを持つ外川浩子(とがわひろこ)さんにお話をうかがったところ、次のように答えてくれました。「まずはみなさんに、見た目に症状のあるさまざまな人たちがいるということを知ってほしいですね。当事者の気持ちを知れば、彼らへの対応も自然と変わってくると思います。また当事者側が歩み寄ることも大切です。私自身、当事者ではないので、ジロジロ見られることがどれほどつらいかなど、分からないこともたくさんあります。そんなときは、『分からないから教えてほしい』と素直にお願いするようにしています。当事者は本当に魅力的な人たちばかりなので、お互いに知らない、分からないことで距離ができてしまうのは、とても残念なことです」。

 「見た目問題」の解決へ向けた第一歩は、出会い、そして互いをもっと知ろうとしていくことだといえそうです。これって、なんだか恋の始まりに似ていませんか。

インタビュー/鎌田晋明(東京都人権啓発センター 専門員)
編集/那須 桂

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